前回までのあらすじw
ある日僕は、大衆食堂の原点とも言えるべき店「若名」を訪れた。
店内には、ピンクの電話などがあり、さながら昭和の雰囲気。
僕はそんなムードに癒やされながら、まず、ビールを注文。お新香と小松菜をアテに喉を潤した。
その後、黒板の日替わりメニューから、イカ刺しと鯖の塩焼きを注文。
新鮮で歯応え抜群なイカと、脂がのって塩加減も絶妙なサバ。
その美味しさに感激しながら、僕は主役の登場を待った。
そして。
焼餃子がやってきた!
ぷっくりとしたフォルム。ほんのり焦げた焼き色。手造り感が満載の、実に魅力的な餃子だ。
それもその筈、この餃子は、注文が入ってから皮を包む、本格的な手作り餃子だったからである。
餃子という料理は、焼き上げるまで、それなりに時間と手間がかかるため、包み置き品や冷凍品を使う店も多い。
しかし、この店ではそれをせず、注文毎に包むところに、こだわりを感じる。
餃子は、日替わりの黒板メニューではなく、レギュラーメニューとして存在しているが、あくまで、多数ある料理のうちのひとつ。
それなのに、このこだわりは素晴らしい。
僕は、厨房の奥で、餃子を包んでいる主人の姿を見ながら、ちょっと感激した。
いやはや、大衆食堂も侮れない。(別に侮ってないけどw)
もちろん、ビールとの相性も抜群。僕は、食べる前からそれを確信した。
囓ってみる。
旨いっ!
ふわっと柔らかくて風味のある皮、ザクザク感を残した野菜と、旨味が詰まった肉。
そして何より、ニンニクの主張が凄い。あまりにも強烈すぎて、一瞬、他の具の味わいが霞むほど。
好みは分かれるかもしれないが、僕は最高に好きなタイプの餃子だ。
まさに昭和の、そして、大衆食堂の手作り餃子はこれだよ!こうでなくちゃ!!と、言いたくなった。
下味もそれなりについているから、何もつけなくても十分に美味しい。
テーブルの上には、醤油やラー油などが用意されていたが、餃子を注文すると、おかみさんが餃子専用のタレを持ってきてくれる。
ただ、それが…。
「チヨダの餃子のたれ」だったw
折角、手作りのこだわり餃子なのになぁ…。
こんなタレが出てきたので、僕は、少しだけ興ざめしてしまった。
ただまぁ、タレに罪はないので、最終的には、これをつけて食べたりもしたのだけれど^^;)
タレ問題はともかくとして、餃子そのものは、とにかく最高に気に入ったので、僕は、思わず追加注文をしてしまった。
あらためて、皮を黙々と包んでくれるご主人に、僕は心の中で詫びる。
「次からは2人前まとめて注文しますので、すみません。」と思いながら、その姿を見ていた。
手包みな上に、丹念に焼き上げるので、2皿めの餃子が出てくるまでには、それなりに時間がかかった。
しかし、僕はこの店の雰囲気に酔いしれていたので、あっという間に時間は過ぎて…。
ついに、2皿目が登場。
僕は、それを見て、ちょっと驚いた。
焦げてるw
しかし実は、この方が断然僕の好みだった。
僕は、自宅で餃子を焼くときも、このぐらい焦がすことが多い。皮のかりかり感が増して最高だからだ。
店のご主人は、2皿目にして、僕の好みを掌握してくれたんじゃないかと思ったほど。
そしてその味は、やはり最高だった。
皮の風味が増して、それが、具の強烈なニンニクパンチと見事に調和している。
ちょっとした中華料理店の餃子にも負けてないと思うし、この店ならではの味わいだとも思う。
こうなると、他のレギュラーメニューも食べてみたくなる。
この店は、どこの駅からも遠いので、歩いて通うにはちょっとしんどいが、ロングランのコースなどに組み込んで、その打ち上げで訪れたい。
店の近所には温泉施設がいくつかあるから、それらと組み合わせれば完璧だ。