藤井聡太八冠が、最初にタイトルを獲得した棋戦は、2020年の棋聖戦。
17歳11ヶ月のタイトル獲得は、史上最年少での達成だった。
以降、あれよあれよという間に、全てのタイトルを奪取。
しかも、それを毎年防衛し続けている、将棋界の絶対王者だ。
各タイトルには、それぞれ永世称号が設けられており*1、棋聖戦では、5期獲得すると永世称号が得られる。
今年の棋聖戦5番勝負で、藤井棋聖(八冠)が防衛に成功すると、初タイトル獲得から5連覇となり、永世棋聖を獲得。
中原誠16世名人が、1971年に得た永世称号の史上最年少記録(23歳11カ月で永世棋聖)を更新する。
だから、今年の棋聖戦は、いつにも増して大注目の棋戦になる筈だ。
今回、そんな藤井棋聖(八冠)への挑戦権を獲得したのは…。
山崎隆之八段だった。
佐藤天彦九段との、183手に及ぶ大激闘を経て、見事に棋聖位の挑戦権を獲得した。
山崎八段は、AI研究だらけの将棋界において、独創的な差し回しを続けている異才。
親しみやすい(自虐的な)トークも含めて、将棋界においては大人気の棋士だ。
僕は、山崎八段の個性的な差し回しと、人間味のある人柄に惚れ込んでいるので、今回の挑戦権獲得は、本当に嬉しい。
前述したように、現状の将棋界は、AI研究なしでは成り立たなくなっている。
しかし…。
AI研究にのめり込むあまりに、「研究済みの序盤は、ノータイムで指し続ける」「千日手や入玉を狙って指す」というような将棋は、見ていても全く面白くない。
そんな将棋も、戦術のひとつであることは認めるけれど、個人的には大嫌いだ。
山崎八段の差し回しは、それとは《真逆》に位置しており、何が起きるかわからない面白さに溢れている。
その独創性においては、間違いなく将棋界随一の棋士。
だからこそ、今回の棋聖挑戦権獲得には、ワクワク感がハンパない。
藤井八冠の壁は限りなく高く、もちろん、厳しい勝負になると思う。
しかし、山崎八段ならば、ひとときの夢を《魅せて》くれるのではないかという期待もかかる。
6月6日からの5番勝負が、本当に楽しみだ。
挑戦権を獲得したのに、例によって、自虐たっぷりのインタビュー。最高すぎる。
いやぁ、これだから山ちゃんファンはやめられない。
*1:「王座」のみは、《名誉王座》という名目になるが、実質は永世称号と同じ。