「中島みゆき展」は、7つの企画で構成されている。
そのひとつひとつは、「CHAPTER(章)」として区切られており、メイン企画となる《中島みゆきストリート》は、CHAPTER1になっていた。
このストリートについては、前回のエントリーで詳しくご紹介させていただいた。
なので今回は、そのストリートに沿って展開されていた、残り6つのCHAPTERについてご紹介を進めていこう。
今回も写真満載でご紹介させていただくので、今後展示会に行く予定で、まっさらな気持ちで鑑賞したいという人は、引き続きスルー推奨だ。
MY FAVORITE SONG
アーティストたちが一堂に会し中島みゆきの楽曲を披露する「中島みゆきRESPECT LIVE『歌縁』」。ここでは、中島みゆきの楽曲を歌うアーティストたちの名前をパネルにしてあり、裏返すと歌った楽曲が紹介されています。
どの歌手がどの曲を歌ったかを想像しながら、パネルクイズ形式で楽しめます。
このCHAPTERでは、これまで中島みゆきRESPECT LIVE『歌縁』に出演したアーティストたちが、パネルになっていた。
壮観だ。
それぞれのパネルを裏返すと、『歌縁』ライブで歌ったことがある曲名が出てくると言うことなので…。
試しにひとつめくってみた。
このエントリーを見ている方へのクイズにしようかと思ったのだけれど…簡単すぎてクイズになってないかもw
もっと意外な人を選べば良かった(^^;
このCHAPTER内には、リスト掲載の曲を選んでコメント投稿できる、「MY FAVORITE SONG」というコーナーもあった。
入力したコメントは、リストの隣にある動画内に表示される。
動画では、曲を切り替えながら、その曲に投稿されたコメントを表示していくが、新しいものから順に表示されるため、そこで入力した自分のコメントは必ず出てくる。
インタラクティブな体験ができるので、コメント投稿してみると面白い。
レコード万歳
あの頃わたしたちはどんな場所で、どんな音で中島みゆきを聴いていたのでしょうか? かつて音楽を聴く主流のツールだった「レコード」を実際に聴けるコーナーです。
お好きな曲を選んでカードに記入しリクエストすると、その曲は展示会場全体のBGMにもなります。会場のみなさんと一緒に、レコードで中島みゆきの曲を楽しみましょう。
個人的に、今回一番気に入った企画。
コーナー内には、ズラリとみゆきさんのレコード盤が並んでおり…。
曲のリクエストをすることができるのだ。
リクエストした曲は、係員の方が、最高級のレコードプレーヤーを使って再生してくれる。
その曲は、展示会場全体のBGMとなるので、リクエスト曲への思いを噛みしめながら、他の来場者たちと一緒に堪能することができる。
いやぁ、素晴らしいじゃないか。
この企画は大人気となっており、僕がリクエストした曲がかかるまでには、20分以上かかった。
ただ、これはまだ早いほう。
リクエストは、時間毎に貯まる一方だから、その後は1時間以上かかるようになっていたからだ。
もしもこの会場でどうしてもレコードで聞きたい曲がある人は、朝一番の入館がお薦め。
ちなみに、この日僕がリクエストしたのは…。
みゆきさんのサードアルバム「あ・り・が・と・う」の1曲目を飾る「遍路」。
ノスタルジックな曲調と、みゆきさんの優しい歌声が、レコード盤ならではの響きに合っていると思ったからだ。
いやぁ、やっぱり最高だった。
コラボレーション (映画・ドラマ・CM)
中島みゆきは数々のドラマや映画、テレビコマーシャルなどに楽曲を提供してきました。倉本聰はドラマ『北の国から』で「ホームにて」「髪」「異国」「世迷い言」など数々の楽曲を使用し、『やすらぎの郷』を制作するにあたっては主題歌をオファー、「慕情」という曲が生まれました。
また、昨年公開された映画『アリスとテレスのまぼろし工場』では、中島が台本に惚れ込み主題歌「心音」を書き下ろしています。垣根を超えたさまざまなクリエーターとのコラボレーションを紹介します。
みゆきさんの歌たちは、これまでさまざまなコラボレーションで展開されたきた。
そんな歴史を、動画とともに感じることができるコーナーだ。
映画ゾーンでは、昨年公開された『アリスとテレスのまぼろし工場』の映像が流れていた。
僕は、基本的にアニメを見ないのだけれど、みゆきさんが主題歌を担当しているということだけで見に行ったことを思い出す。
アニメ鑑賞に慣れていないため、ストーリーは理解しきれなかったけれど、エンドロールで流れた「心音」は、やっぱり素晴らしかったなぁ。
ドラマで使われた曲も無数にあるけれど、このコーナーでは、特に、「やすらいの郷」がフィーチャーされていた。
みゆきさんが、分厚い台本を読み込んだ上で製作した「慕情」は、まさに、このドラマのテーマにあった、超絶曲だと思う。
CM。
みゆきさん本人が登場した「アスタリフト」の映像が流れていた。
しかもこのCMは、松田聖子さんとの競演なのだから、本当にたまらない。
みゆきさんと聖子さんは、ともに、僕の人生にとって欠かせない女神たちだからだ。
いやぁ、懐かしい。懐かしすぎる。
夜会 「言葉の実験劇場」
「ミュージカル 舞台 コンサート いずれとも称しがたいなにか」として1989年に始まった「夜会」は、中島みゆき本人が原作や脚本を書きオリジナル曲を書き下ろして歌う「言葉の実験劇場」というコンセプトと、〝みゆきの「うた」に手が届く〟というキャッチコピーで、長年に渡り開催されてきました。
ここでは、夜会の舞台美術を担当した堀尾幸男氏による貴重な舞台模型や、実際に着用した衣装、関係者の証言などから、夜会の秘密を読み解きます。
夜会ゾーンは、ひときわ広いエリアを使い、照明を落として静謐に展開されていた。
エリア中央には、みゆきさんの舞台衣装が展示されていた(素晴らしい!)が、残念ながら、その衣装だけは撮影禁止とのこと。
ただ、僕の瞳の裏には、その衣装を身につけたみゆきさんのイメージがしっかりと焼き付けられた。
ステージセットの模型。
夜会の会場に展示されていたものだが、こうやって一同に介してみると、それぞれに凝った造りが感じられ、僕は、「夜会」の緻密さをあらためて思い知った。
「夜会」の動画も公開されていた。
僕がこのエリアに入った時に流れていたのは、夜会VOL.12「ウィンター・ガーデン」の掉尾を飾った「記憶」。
「夜会」史の中でも、屈指の美しい映像だ。
この「記憶」は、本当に好きな歌なのだけれど、どのアルバムにも収録されていないのが、ちょっと残念。
舞台の写真(撮影が下手で色飛びしてしまった…)と、瀬尾一三さんによるコメントも掲載。
あぁ、また「夜会」を見に行きたいなぁ…。
新作は難しいかも知れないけれど、「リトル・トーキョー」再演してくれないだろうか。
拝啓みゆき様~あなたからみゆきへ
中島みゆきは「進化樹」という歌の中で、人間はどこから来てどこに向かうのかという、根源的な問いを投げかけています。
展覧会を観てあなたが感じたこと、伝えたいことを自由に記入して、進化樹を完成させてください。
会場を訪れたファンと、みゆきさんを繋ぐ企画。
みゆきさんへの思いを付箋に綴って…。
場内にある「進化樹」に貼ることができた。
僕は、開催初日のに入場し、開場後1時間後ぐらいにメッセージを書いて貼ったが、その時既に、大量の付箋が貼られていた。
「中島みゆき展」は、まだ2ヶ月も続くので、とても全部を貼りきれる筈がない。
これは僕の推測だけれど…付箋は簡単に剥がせるようになっているから、毎日貼り替えていくのではなかろうか。
進化樹から剥がされたメッセージは、その後、みゆきさんのもとに届けられることを密かに期待。
言葉の森
デビュー当時から一貫して自らの言葉で歌い続ける中島みゆき。
多くの人の心を動かす言葉の魅力は、言葉の持つ力を信じる中島の強さと、その言葉に通底する普遍性にあるのかもしれません。舞っているかのように次から次へと押し寄せる珠玉の言霊たち。
言葉の森を彷徨いながら、それぞれの気づきや想いを大切に持ち帰ってください。
回廊の最後に控えていたのは、いかにも「中島みゆき展」らしい、《言葉》にまつわるものだった。
圧巻。
みゆきさんが紡いできた歌詞たちが、まさに、《言葉の森》といった趣で展示されている。
僕は、脳内にみゆきさんの歌声を響かせながら、それらの言葉たちに酔った。
その後…。
回廊のスタートラインに戻り、僕は、これらのCHAPTERを何度も見返し、今もその追憶に浸っている。
いやぁ、素晴らしい展示会だったなぁ。
中島みゆきファンならば、絶対に訪れておくべきだ。