都営三田線「本蓮沼」駅から、徒歩約15分。
東武東上線「ときわ台」駅からも、徒歩約15分。
どちらの駅からも結構歩く。
板橋区の住宅街のど真ん中に、ひっそりと、その店は存在していた。
大衆食堂「若名」。
青い暖簾が、大衆食堂っぽさを醸し出す。赤い暖簾の町中華店とは対照的だ。
僕は、町中華をこよなく愛しているが、最近は、大衆食堂にも惹かれている。
若かった頃は、こういった《青暖簾&磨りガラス》の店に入るのは勇気が要ったし、実際、入った記憶が殆どない。
しかし、今は違う。
大衆食堂という響きも、青い暖簾も、僕の心を大きく刺激する。僕も大人になったものだw
入店。
店内は、いかにも《昭和》といった感じの空間で、なんだか落ち着く。
今では懐かしい、ピンクの公衆電話もあった。
僕は、カウンターの隅に座って、メニューを眺めてみる。
レギュラーメニュー。
ラーメンや炒飯などの中華系に加え、いか天丼や親子丼、ポークソテーにハムエッグなどなど和洋各種を取り揃えていて、どれも実に安い。
これだけじゃない。
黒板には、多種多彩な日替わりつまみのオンパレード。
僕は、そのどれもこれも食べたくなって大いに迷った。
とりあえず、ビールのアテが必要だと思ったので、「コマツナ」と「オシンコ」を注文。(合わせて220円!)
それは、すぐに運ばれてきた。
ビールのおまけとして、もやしも一緒についてきたので、実に渋い野菜セットになった。
町中華だと、こういった生野菜類をとることが難しい場合が多いのだけれど、流石、ここは大衆食堂。大衆向きの生野菜が揃っている。最高だ。
さらに…。
イカ刺し(450円)を注文。
新鮮で、甘みがあって、歯応えもいい。これもまた、町中華では味わえない至福だろう。
僕は、心がすっかり海鮮気分(どんな気分だよw)になったので、焼き魚も注文することにした。
黒板の筆頭には、「サンマヒラキ」という表示があり、1行消された後に、「サバ」と書かれていた。(消されていたのは、「アジ」だと推測^^;)
僕は、ちょっと迷ったが、「サバ」をチョイス。
カウンターでイカ刺しをつまみながら、厨房での調理風景をぼんやり眺めていた。
生のサバが、じっくりと丹念に焼き上げられていく過程はとても素敵で、途中、煙がもくもくと上がった時は、幸せな気分になった。
そして。
鯖の塩焼きがやってきた!
これがまた実に美味しかった。
脂の乗り加減も、塩味も申し分ない。骨とりが十分になされており、丸々一尾食べきることができる。
これで340円というのは、信じられない価格だ。
僕は、そんな海鮮の素晴らしさに酔いしれながら、主役の登場を待った。