マウルタッシェンは、ドイツ料理だ。
その形状が、餃子に似ていることから「ドイツ風焼餃子」などと称されることもあるけれど、実際は、似て非なるもの。
それを僕は、去年のベルリンで実感している。
僕がベルリンで食べたのは、具が野菜タイプだったけれど、肉タイプのものであったにしても、その感想は変わらなかったろう。
日本の焼餃子が醸し出す、皮のパリパリ感、野菜や肉のジューシー感を味わう「つまみ的」料理ではなく、あくまでパスタ料理。
主食的な位置づけの料理であると思うのだ。
だから、マウルタッシェンには、《焼き》タイプより、《スープ》タイプが多いというのも納得できる。
ということで、日本の餃子と異なるとはいえ、印象に残る料理ではあったので、いつかまた食べたいという思いを抱いていた。
去年の横浜オクトーバーフェストでは見つけることができなかったが、今年出かけた FRUHLINGS FEST屋台で、僕は、このマウルタッシェンの名前を発見!
だが、それは、僕が想像していたマウルタッシェンとは、異なる姿に変貌していた。
これだ。
マウルタッシェンの説明として、まず、《ドイツ餃子焼き》と名付けており、さらに、そんなマウルタッシェンを、ビールに合わせるよう「焼き餃子風に焼き上げます!」と書かれている。
ドイツ餃子焼きの焼餃子風??…ちょっと日本語的に変じゃないか?
この時点で、もう、違和感満載だったのだけれど、まぁ、そういった点も含めて検証が必要だろうという結論に達し、注文。
数分後…焼き上がった料理を受けとった際、僕の違和感は頂点に達した。
単なる焼餃子じゃないか!
中華料理屋で、鉄板の上に乗って出てくる棒タイプの餃子と完全に一致。ご丁寧に、中華風のタレまでかかっている。
よく考えてみれば(いや、よく考えなくても)、ドイツ風焼餃子マウルタッシェンを、日本の焼餃子風にする…っていう行為が疑問。
マウルタッシェン要素はいったいどこにいってしまったんだ?
ドイツイベントの屋台で提供されるから、たまたま「マウルタッシェン」というネーミングになっているけれど、中華系のイベント屋台なら、そのまま「棒餃子」として販売されていても、何ら不思議はないと思う。
ただ、それはあくまで見かけの印象であって、実際食べてみると、焼餃子じゃなくマウルタッシェン風なのかもと思いながら囓ってみると…。
やっぱり単なる焼餃子だったw
むしろ「これは焼餃子だ!」という印象が、確信に変わったと言ってもいい。
パリパリの皮、ザクザクの具。専用のタレ。縦から見ても横から見ても、マウルタッシェン感はゼロの、生粋の焼餃子だ。
ただ、僕はそれが不満だったかというと、実はそうでもない。
僕は餃子ランナーだから、もちろん、マウルタッシェンよりも餃子の方が好きだし、そもそも、これがとても美味しかったからだ。
何よりも、ドイツビールとの相性が抜群!だった。
それはそうだろう。もとより焼餃子とビールの相性が抜群なことは、周知の事実。
だから僕は、大いに満足して、このマウルタッシェン焼餃子を堪能した。
ということで…。
増殖。
僕らは、ベルリンで食べたマウルタッシェンに思いを馳せつつ、「これは全然違うよなぁ」などと言いながら、でも、美味しく平らげた。
焼餃子的観点でみると、4個で900円という価格はあまりにも高くて割に合わないけれど、まぁ、美味しいビールのお供としては、悪くない。
今後、オクトーバーフェストなどのドイツビールイベントに参加した際、もし見つけたら、また、注文しようと思う。