時は、緊急事態宣言前に遡る。
町中華の店には、「時短」営業が要請されていたが、まだ「禁酒令」は公布されていなかったので、餃ビーは可能だった。
そんな中…
僕は、挨拶も餃ビーも心地よかった店「宝龍」を出て、次の目的地に向かった。
それは、「宝龍」から、ほんの10m先歩いた先にある店。
「天龍」だ。
「宝龍」「天龍」なので、なんだか姉妹店のようだけれど、関係はない。
直接確認したわけではないが、メニューは完全に異なっていたので、少なくとも、系列店ということはない。
店内は、「宝龍」よりはちょっと綺麗な感じだったが、昭和の趣を感じさせる。
感染症対策で、2人がけのテーブル席は1人のみしか座れず、カウンター席も1席おきになっていた。
「1人客以外お断り」という意思を感じる店だ。
こういう店では、お酒を飲もうが飲むまいが、ひとりで黙々と飲食するという点では同じこと。
だから、アルコール禁止にさせられるのは、納得いかないんだよなぁ。
僕は、まもなく店内で飲めなくなる理不尽を感じながら、瓶ビールを注文した。
ビールは大瓶で、かつ、豆腐1/4丁がサービスでついてきた。
「宝龍」は1/2丁だったから、ちょっと寂しくなったが、その分、ビール代が安い。
なんと大瓶で500円。
東京の町中華だと、中瓶でも600円とるような店が普通にあるので、これは嬉しい。
メニューを眺めてみると、オーソドックスな料理に混じって、気になるものがいくつかある。
天龍ラーメン(肉の天ぷらいり)や、お好み焼風炒飯などは、ちょっと食べてみたくなった。
しかし、この日は2軒目だったし、注文するものは予め決まっていたので、浮気するつもりはなかった。
「何に決まっているのか」って?それをここで聞くのは野暮というものだ。
ここは餃子ランナーのブログなのだから、餃子に決まっているではないか。
ということで、僕は、もちろん餃子を注文し、しばらくすると、それが目の前に出てきた。
正直に書くと、第一印象はちょっと微妙だった。
その前に食べた「宝龍」の焼き餃子に比べて貧弱だし、個数も1個少ない。
焼き色にもムラがあり、焦げたりもしているので、あまり美味しそうには見えない餃子だ。
それでいて、その価格は「宝龍」と同じ450円ではなぁ…。
囓ってみると、意外にも(?)その味は、そんなに悪くなかった。
小ぶりだけれど、じわっとした肉汁が感じられ、しっかり下味がついているから、何もつけなくても十分に美味しい。
皮のカリカリ感も好ましくて、ビールには最高に合うタイプの餃子だ。
450円は高いと思うが、その分、ビールが安いので、餃ビーならば悪くないか…と思いながら、店内を眺めていると、衝撃の掲示を発見した。
それは、元WBC世界スーパーフライ級王者である、徳山 昌守さんの写真入り色紙。
…の横に、さりげなく貼られていた、この掲示だ。
店内サービス品!
焼餃子 300円!!
なんと。通常価格より150円も安いのか。これにはちょっと驚いた。
焼餃子の下には、揚げ餃子やエビワンタンなど、通常メニューには存在していないものが書かれているため、これは、もしかすると《おつまみ前提》なのかもしれない。
ただ、焼餃子に限っては、店内メニューよりも150円安いことは間違いなく、餃ビー党にとっては最高のサービスだ。
ということで、僕はもう1品注文することにした。
揚げ餃子はもちろん魅力的だったが、店主の人に聞くと、焼餃子と同じ具ということだったので、海老ワンタンを注文することにした。
ワンタンは、餃子の親戚。特に、海老ワンタンとなれば、海老水餃子とは、いとこのようなもの。
そして…。
これが大当たりだった。
スープに入っていない海老ワンタン*1は、ちょっと斬新。
これには、専用のつけだれもついてきたので、まさに水餃子的。
海老はプリプリだし、つけだれもピリ辛で、これまた、ビールにはよく合った。
焼餃子と海老ワンタンで、大瓶ビールを堪能し、しめて1,200円。いいじゃないか。
最近は、「テイクアウト優先」「テイクアウトがお得」を(やむを得ず)アピールする店が多い中、店内飲食のみの特別価格というのはちょっと異色。
だからこそ、餃ビーする価値が高い店なのだけれど、残念ながら、しばらくお預け…。
ひとり黙ってビールを飲むことに、いったい何の問題があるのか、未だ僕にはわからないのだけれど、今はただ、我慢するしかない。
この禁酒令が明けた時には、是非、必ず訪れようと僕は思った。
板橋区稲荷台の片隅で、昭和の時代から、ひっそりと立ち並ぶ「宝龍」と「天龍」。
2つの「龍」は、どちらも魅力的なので、どちらに行こうか迷ってしまうけれど。
また、両方かな^^;
*1:別途「海老ワンタンスープ」というメニューがある