【前回のあらすじw】
都営新宿線の篠崎駅から、歩いて20分。住宅街の中に、突然出現する「菊亭」で、僕は、「皮から手造り」餃子とビールを注文。
満を持して出てきた焼餃子は、野菜のザクザク感をしっかり残した具と、強烈なニンニクパンチ、カリカリでもちもちの皮が相まって、文句なしの旨さ。
僕は、素晴らしい餃子に出会えた感動で心が震え、おかわりをしようかとも思ったのだけれど、少し考えて、違う選択肢をとることにした。
「菊亭」は、1974年に開業した町中華。昭和の老舗だ。
ニンニクがガツンと効いた、食べ応えのある焼餃子は、そんな老舗にふさわしい王道の旨さだった。
しかし、この店は、単なる《昭和の町中華》ではない。
定番のメニューをメインに据えながら、チャレンジングな料理にも挑んでいる店だった。
それは、店へ入る前に見た、この看板からも明白。
「ビールのアミーゴ チリコンカン」
アミーゴは、スペイン語で「友達」の意味。
創業45年を超える老舗が、スペイン語でプッシュするチリコンカン。これは侮れない。
その隣には、《シンガポールカレービーフン》などという表記もあり、多国籍料理店のようなムードを醸し出している。
入店後も、僕はこの店のチャレンジングなメニューに、ちょっと驚く。
このメニューだけ見ると、オーソドックスな中華料理店に思えるし…。
壁にも、オーソドックスな中華料理名が並んでいる。
…が、その一方でこんな表示も出ていた。
雷・納豆厚揚げ?ワンタンラザニア?
「ダサ巻玉子」(だし巻きじゃなくてダサ巻き?)や、「エビのみ焼」(のみって何?)と言ったメニューが、さりげなく案内されていて、実に気になる。
そして、なんと言っても僕が目を惹かれたのは、この掲示だ。
ゆでポン餃子とパクチー餃子。
揚げ餃子の食感になると言う《餃子の両面焼き》にも、オプションで対応。
これは試してみたくなる。
ということで、僕は、この両方を注文し、折角なので、パクチー餃子は両面焼きで出してもらうことにした。
まずは、ゆでポン餃子が登場。
具は、普通の焼餃子と同じだったが、茹でると、皮のもちもち感が際立って、別の美味しさを醸し出す。
優しいポン酢の味わいが、パンチ力のある具を、絶妙に落ち着かせている。
いくらでも食べ続けることができそうな餃子だ。
そして。
パクチー餃子がやってきた!
いやはや何とも、衝撃的なビジュアル。
パクチー餃子という変化球に、《両面焼き》オプションまで加えたため、相当なクセ球になった。幻の大リーグボール4号は、こんなところにあったのかもしれない。
こんなん、ビールと合うに決まってるじゃないか!
囓ってみると、その衝撃は倍加する。
緑一色w
これは見事な役満餃子だ。
その具は、オーソドックスな焼餃子とは完全に別物で、パクチーの味しかしない。
パクチーは皮にも練り込まれているため、皮までが緑に染まっている。
僕は両面焼きにしてしまったため、焦げてしまった感じになっているが、普通に焼いてもらっていたら、もっと緑が際だっていた筈。
僕がこれまでに食べてきたパクチー餃子の中で、もっともパクチー率が高い気がする。
ただ、両面焼きにしたせいか、皮の味わいが強くなり、パクチーの持つ癖が、逆に抑えられたようにも感じる。
今度は、オーソドックスに焼いたものも味わってみなければなぁ…と思った。
これは、後で知ったことなのだけれど、このパクチー餃子は創業40周年を記念したメニューだったようだ。
店のWebサイトには、このように案内されている。
パクチーが たっぷり7割も入ったうえに、皮にもパクチーを練り込んだ「パクチー餃子」 パクチーハイ、パクチー麺、パクチー水餃子、追パクもできますので皆様の御来店をお待ちしております。
なんと、パクチー麺やパクチー水餃子、追パクまで対応しているという。これは凄いこだわりだ。
この店は、創業40年目にして、いったいなぜパクチーに目覚めたのだろう。責任者に質問してみたいw
餃子の種類としては、さっぱり味の特製スープに浮かんだ「水餃子」や、コクの濃い坦々スープ仕立てになった「坦坦スープ水餃子」というメニューもあった。
だからおそらく、「坦坦スープパクチー水餃子」などというアレンジなども可能な筈。
いやぁ、これは、是非また行かなければなぁ…と思った。
家から遠いのは難点なのだけれど、ならば、それを逆用し、ロングランコースに組み込むと言う手があるw
今度は店まで走って出かけて、お腹を十分に空かせた上で訪れたい。