好きな料理を10個上げろと言われたら、ニラ玉は、まず絶対に落ちない。
五本の指でも入ると思う。
僕は餃子ランナーだから、餃子は別格とすると、1位になってもおかしくない。
それぐらいニラ玉を愛している僕にとって、大きな後悔がひとつある。
八丁堀にあった名店、中華シブヤの「ニラ玉」を食べられなかったことだ。
ニラと肉を醤油ダレで味付けした炒めものに、玉子焼きをふんわり被せた、独特なタイプ。
ニラも玉子も、ともにその存在を十二分に生かしきったと評される、最強のニラ玉だ。
僕は、孤独のグルメseason7の第12話でその存在を知り、いつか必ず、絶対に食べに行かなければと思っていた。
しかし、番組放映後、大行列となった人気に恐れをなし、ためらっていたら、3ヶ月後に、中華シブヤが閉店…。返す返すも悔やまれる。
ひとくちにニラ玉と言っても、さまざまな種類がある。
オーソドックスなニラ玉のイメージと言えば、こういうタイプのものだろう。
これは、新橋「一味玲玲」のもの。
この店は、都内トップクラスの餃子店だが、ニラ玉のレベルも高かった。
僕がちょっと納得がいかないニラ玉は、次のようなタイプ。
ニラ玉と言いながら、なぜか、もやしが一番目立つパターンだ。
これは、《ニラ玉入りもやし炒め》であって、断じてニラ玉とは呼べない。*1
僕は、ニラ玉を注文して、このタイプが出てくると、大きく消沈する。
心が野菜炒め気分なら、全く問題ないのだけれど、ニラ玉モードになっていると、なんだか裏切られたような気になるからだ。
最近、別の意味でショックを受けたのは、このニラ玉。
雑司ヶ谷の「ターキー」で焼餃子のアテに選んだニラ玉だ。
これはまぁ、縦から見ても横から見ても《ニラ玉》であることは間違いない。
しかし、僕が中華料理店で思い描くニラ玉のイメージとは明らかに異なっていた。
これは…ニラ玉炒めではなく、ニラ玉煮だったからだ。
甘いつゆに浸っていて、ナルトも入っている。ご飯の上に乗せれば、親子丼ならぬ、ニラ玉丼になる。そんなイメージ。
これはこれで悪くなかったが、ちょっと拍子抜けしてしまったのも事実。
逆に、最近のヒットだったニラ玉はこれ。
ニラのビジュアルが強烈。
玉子のとろとろ感がないのがちょっと残念なのだけれど、ワイルドなニラの主張が生きていて、とても美味しいニラ玉だった。
ただ、「孤独のグルメ」を見直すたび、やっぱり僕は、史上最高のニラ玉を味わえなかった痛恨が残っていた。
だから。
先日、桜新町の「八丁軒」を訪れ、ニラ玉を注文した時も、それほど大きな期待をしていたわけではなかった。
最初にメニューを眺めた時、「ニラ玉で800円というのは、ちょっと高いなぁ…」と思って、一瞬ためらったぐらいだ。
ところが…。
注文して、僅か数分。あっという間に出てきたそれを見て、僕は大いに驚愕する。
いやはや、何というボリューム。
ビール(大瓶633ml)やグラスとの比較で、その大きさがおわかりいただけるだろう。
玉子は分厚く、間違いなく2個以上使っている。
中華シブヤのように、玉子とニラが別々になっているわけではないが、超速調理だったからか、ニラのシャキシャキ感も損なわれていない。
そして…。
豚肉も入っている!
トロトロの玉子、シャキシャキのニラ、柔らかい豚肉が、三位一体。
甘辛のタレに包まれて、三位一体で、超絶の味わいを醸し出している。
いやぁ、これは…。
旨い!
旨いぞ!
旨すぎる!!
僕は、大いに感動した。そして、ちょっとだけ後悔。
このニラ玉ならば、やっぱり、一緒にご飯が食べたくなる。トロトロ玉子と甘辛のタレを、ご飯と一緒に味わいたい!と、思ったからだ。
しかし僕は、この時既に、ビール脳になってしまっていたので、それを敢行することができなかった。
もちろん、このニラ玉にはビールも合うが、ご飯には叶わない。僕は、そんなことを思いながら、壁のメニューをあらためて眺めた。
ニラ玉は、ライスつきだと、1,000円になる。
現物を見ていなければ、「ニラ玉ライスで1,000円?!」と思っていたところだったが、実際に味わってみると、1,000円ならば、むしろお得だとさえ思えてきた。
ニラ玉には豚肉が入っていたが、《肉ニラ玉》ならば、肉も増量されるようだし、次回は奮発して、肉ニラ玉にしようか…などとも思っている。
さらに、250円増で炒め大盛にすることもできる(!)ようなので、ランでお腹を空かせて、大盛チャレンジも悪くない。
いずれにしても、近々に必ず再訪するつもりだ。
*1:この写真の店は、「にら炒め玉子入り」と呼んでおり、ニラ玉とは言っていないのだけれど。