待ちに待っていた、伊坂幸太郎の「777 トリプルセブン」が、遂に発売された。
「グラスホッパー」「マリアビートル」「AX」に続く、殺し屋シリーズの最新刊。
2年ぶりの完全書き下ろし作品だ。
僕は、伊坂幸太郎の大ファンで、これまでほぼ全ての作品を読んでいるが、とりわけこのシリーズは大好き*1なので、その発売を心から楽しみにしていたのである。
帯に書かれたキャッチコピーを読んだだけで、僕は思わず興奮。
そのホテルを訪れたのは、逃走中の彼女と、とびきり不運な殺し屋。そして――。
そう。
あの「マリアビートル」に登場した、世界一不運な殺し屋《天道虫》が、再び登場するのである。
これはもう、期待せずにはいられない。
僕は、思い切り期待のハードルを上げて読み始めたが、流石は伊坂幸太郎。
あれよあれよと引き込まれて、一気呵成で読み終えてしまった。
今回も、新しい業者(殺し屋)たちが多数出現。
登場人物は半端なく多いのだけれど、完璧なまでにキャラクターが書き分けられており、混乱は生じない。
このシリーズ特有となる、殺し屋たちのコードネームが実に最高。
「マリアビートル」では、蜜柑&檸檬という最高のコンビがいたが、今回も個性的なコンビ(&チーム)がいくつも出てきて、誰も彼も魅力的だ。
最初から最後まで、入れ替わり立ち替わり、殺し屋たちの戦いが行われて、死体だらけのホテルとなるため、書きようによっては、陰惨な物語になっていただろう。
しかし全くそうはならずに、カラッと読めるのが、このシリーズの凄いところ。
軽妙な会話と意外な展開の連続で、ページをめくる手が止まらない。
結末も二転三転で、まさに伊坂幸太郎ワールドの真骨頂。
いやぁ、2年ぶり完全書き下ろしはダテじゃない。最高だ。最高すぎる。
これは、「殺し屋シリーズ」4作目の作品となるが、「グラスホッパー」や「AX」とは直接の繋がりはなく*2、単独で読んでも十分に楽しめる。
ただ、「マリアビートル」に登場した《天道虫》が主役なので、「マリアビートル」だけは読んでおくか、せめて、映画「ブレット・トレイン(原作/マリアビートル)」*3を見ておいた方が、より面白いと思う。
超オススメ。
単行本の中には、「777 トリプルセブン」刊行記念グッズの告知チラシが挿入されていた。
グッズの目玉は、伊坂幸太郎画伯(!)による「炭酸狛犬」のイラストつきタンブラー。
炭酸狛犬って何…?と思うかもしれないが、この本を読んだ後は、猛烈にこれが欲しくなること請け合いだ。
天道虫の真鍮しおりも良いなぁ。
特設サイトでは、現在、絶賛予約受付中。
伊坂幸太郎サインつきの「777 トリプルセブン」を含めた、コンプリートセットも用意されている。
あぁぁ、どれもこれも欲しくてたまらないのだけれど、僕は最近、想定外の出費が続いているので、ちょっと悩ましいところだ。
予約期間修了までは、まだ少し時間があるので、「777 トリプルセブン」を再読しながら考えてみることにしよう。
【蛇足】
今回のタイトル「777 トリプルセブン」には、さまざまな意味がこめられているが、それとは別に、個人的な意味で、僕はこのタイトルにハマった。
「777」という数字は、僕のランナー人生において、一生忘れられない思い出があるからだ。
3年前。第32回 サロマ湖100Kmマラソンのナンバーカードだ。
このナンバーカードをゲットした時、僕は、「やった!」「今年のサロマは、もらった!」と思った。こんなに縁起がいい番号は、滅多にないと思ったからだ。
(中略)
ところが…。痛恨のリタイア…。
(中略)
要は、素晴らしすぎる「777」という番号が、この日の僕にとっては、アンラッキーになってしまったということ。
このゼッケンナンバーをゲットした時は、最高についている!と思ったのに、結果的には、それが裏目になってしまった皮肉。
さながら「天道虫」になったような気分だ。
僕がリタイアした原因は、もちろん力不足なのだけれど、このナンバーじゃなければ、結果は変わっていたかもしれない。(と、思いたいだけw)