Kindle Unlimitedは、月額980円で、約200万冊の電子書籍が無料で読み放題になるという素晴らしいサービスだ。
ブラックフライデー&サイバーマンデー期間に実施されていた「3ヶ月で99円」という驚異のキャンペーンは終了してしまったけれど、新規登録ならば、30日間の無料体験が可能。
もしもまだ未体験の人がいれば、ぜひ試してみることをオススメしたい。
ただ、そんなKindle Unlimitedにも、2つの大きな弱点がある。
1つは、同時に10冊までしか読み放題にならないということだ。
要は、10冊までしか借りられない図書館だと思えば、話は早い。
10冊を超えると、ライブラリを入れ替えながら使う必要があり、少しだけ面倒くさく感じる。
僕はコミックを殆ど読まないが、例えば、10巻を超えるコミックを通しで読む場合、それらを全てまとめて端末に入れておくことができない点は、注意が必要だろう。
ただ、まぁ、これは手間だけの問題なので慣れで解決できる。
僕が気になるのは、もう1点。
《小説》の品揃えが極端に弱い、ということだ。
それも、ミステリーやSF分野など、エンターテイメント系は悲惨な状況。
人気作家による作品や、最近の話題作などを読もうと思っても、Kindle Unlimitedのラインナップには殆ど含まれていない。
実用書やエッセイなどについては、最近の話題作やベストセラーが含まれていたりするので、この点については、何とか改善して欲しいと、常々僕は感じていた。
だから僕は、先日、この本がラインナップに含まれていることを知って、ちょっと驚いた。
昨年発売になった、伊坂幸太郎の書き下ろし長編「クジラアタマの王様」である。
僕は、伊坂幸太郎が好きで、この本についても気になってはいたが、単行本で買うのは見送っていた。
まだ、文庫で未読の本もあったから、これも「文庫になってから読めばいいや」と思っていたのだ。
しかし、Kindle Unlimitedのラインナップに含まれているとなれば見逃せない。
僕がこれを発見した11/23に、Kindle Unlimitedに含まれていた伊坂幸太郎の小説は、この1冊だけ。
「いったいなぜだろう?」「面白くないのか?」と邪推してしまったが、何しろ無料なのだから、登録を拒む理由にはならない。
ということで、早速ダウンロードして、超快適な電子書籍リーダーのKindle oasisで読みはじめてみた。
僕は、もっぱら通勤時間を中心に読んでいたのだけれど、いやはやこれが想像以上に面白くて、やめられない止まらない。
僕は、ベッドの中でも読み続け、あっという間に読み終えてしまった。
ストーリーは至ってシンプル。
ひとことで言ってしまえば、夢と現実が交錯するパラレルワールドもので、伊坂幸太郎にしては、ひねりが少ない構成となっている。
しかし、やっぱり会話が非常に巧く、主役となる3人の描き方も実に魅力的。流石は伊坂幸太郎!と言える内容になっている。
夢パート部分については、川口澄子氏によるファンタジーコミックが挿入されており、これがまたいい。
物語の中で、《未知の新型インフルエンザ発生》と、それに伴う世間の対応が重要なテーマを占めている、という点も見逃せない。
まさに、コロナ社会を予見したような小説になっているのだ。
僕は、こんな素晴らしい小説が、月に1冊でも読めるなら、それだけでもKindle Unlimited契約の価値があると思ったほど。
だから、この素晴らしさを、Kindle Unlimited未体験の人に伝えたいと思い、そして…ちょっと驚いた。
ん?
Kindle Unlimitedの対象から外れている!
電子書籍としては存在しているが、1,386円を払わなければ、読むことができなくなってしまっているのだ。
僕は、慌てて自分のKindleライブラリを確認してみた。
すると…。
おぉ。まだちゃんと残っていた。
どうやら、一度ダウンロードしたものが消えることはないようだ。
しかし…。
と、僕は思った。
前述の通り、Kindle Unlimitedは《10冊制限の入れ替え制》をとっているため、この本を残している限り、9冊までしか入れ替えられなくなってしまう。
僕はもう、いったんこれを読み終えたのだから、気にせず入れ替えればいい。
ただ、いざ入れ替えてしまったら、もう、この本は無料で読み返すことが出来ないのだと思うとちょっと悲しい。
僕はまだ、Kindle Unlimitedの仕組みをよく理解していないのだけれど、こういった《限定公開》的なものはよくあるのだろうか。
となると、常に色々とチェックして、計画的に入れ替えていかなければいけないなぁ…。