旅とマラソンは、とても相性がいい。
自分が好きな街で走ることができる喜びは、旅の楽しさを増幅させてくれる。
マラソン大会は、日本じゅうのみならず、世界のあらゆる場所で開催されている。
僕は、海外旅行が好きなので、異国の地で走ることは、至上の幸せだ。
そんな僕にとって、バイブルとも言える本がある。
これは、僕が世界のレースに想いを馳せるとき、必ず読み返している本。
コロナ禍の襲来で、海外マラソンができなくなってしまった時、僕はいつもこれを読んで心を静めていた。
最近は、ようやくコロナの状況が落ち着き、自由に海外遠征できるようになったのは、嬉しい限りだ。
昨年、久しぶりに海外へ行き、2回目のニューヨークシティマラソンを走ったことで、僕はまた、異国で走ることの喜び、興奮を思い出していた。
ということで、僕は、次の海外マラソン遠征計画も立てていたのだけれど…。
突然の悪夢が訪れた。
強い腰痛があったにも関わらず、8月の北海道マラソンに強行出場したことで、痛恨の腰椎圧迫骨折に。
海外どころか、日本で走ることもできなくなってしまったのだ。
自業自得とはいえ、悲してくやりきれない。
そんな折…海外を飛び回る猛者のラン仲間から、素敵な本を紹介してもらった。
世界のランニングレース500 (有名シティマラソンからウルトラ、トレイルまで憧れのレースを厳選!![オールカラー512ページ])
この本だ。
紹介されているランニングレースの数は、なんと500!
前述「世界のマラソンベスト50」の10倍もあって、驚くばかりだ。
これは、英国で刊行されている次の本の、日本語版。
ただ、原書とは内容がちょっと異なっているようだ。
原書は、「Ultimate(究極の)」ランニングレースというタイトルになっており、その表紙からも、過酷なレースが掲載されている印象を受ける。
しかし日本語版では、「世界のランニングレース500」というマイルドなタイトルに変わっており、表紙画像もパリマラソンのものを利用しているので、ちょっとイメージが異なる。
その違いは、僕の印象論だけではなく、この本の見返しでも説明されていた。
どうやら、アジアのレースを多く加え、シティマラソンを増やすなど、日本人ランナー向けの内容になっているようだ。
ただ…。
そうは言っても、全体のコンセプトは原書譲り。
紹介されているレースの種類は、実に多彩。
ロードランのみならず、山岳、トレイル、ウルトラ、クロスカントリーなど、全9ジャンルもある。
世界各国のレースを取りあげており、特にヨーロッパ地域のレース紹介は圧巻。
アルプス地域だけでも、50以上のレースが紹介されているのだから、驚くばかりだ。
ロンドンマラソンやニューヨークシティマラソンなどのメジャー大会は、もちろん、くまなく紹介されているが、この本の最大の魅力は、そこじゃない。
実にマニアックな大会が、数多く紹介されていることだ。
エンパイアステートビルを駆け上るレース!
僕はニューヨークという街をこよなく愛しているのだけれど、こんな大会が存在していたことを知らなかった。
泥の中を匍匐前進したり、火の中に飛び込んで走ったりするレースもある。凄すぎだ。
この本の中には、そんな驚きが多数詰まっている。
日本からはなかなか行けない地域のレースが網羅されているし、そのボリュームは、オールカラーで512ページもあるので、読み応えについては申し分ない。
走ることができない今、僕は、この本で脳内ワールドランの喜びに浸っている。
いやぁ、最高だ。