久しぶりに「Sports Graphic Number」誌を購入した。
村上春樹先生のロングインタビューが掲載されていたからだ。
今号は7/16発売だったから、奇しくも、最新短編集である「一人称単数」の発売日と重なったが、インタビューの中に、最新刊の話は一言たりとも出てこない。
このインタビューは、《ランナーとしての》村上春樹像に迫っているからである。
しかし、「走ること」と「書くこと」の関係性についても詳しく述べられており、《作家》村上春樹の考え方についても、知ることができる。
そして、唐突に出てくる《ヤカン》の話がこれまた素晴らしい。こういう感性は、やはり超一流の作家だなぁ…と、僕はあらためて感服した。
《ランナー》村上春樹を語る上で、絶対に欠かせない必読書がある。
もちろん、この本だ。
5年前。
はてなダイアリーのお題で《人生に影響を与えた1冊》というテーマが出た時、僕は、こんなエントリーを書いた。
この本に出会ったからこそ、僕は、ニューヨークシティマラソンにチャレンジしたのだし、サロマ湖100kmウルトラマラソンへの出場も決めたのだ。
僕は、これ以降も何度も何度もこの本を読み返している。
そう言えば…。
3年前。
最新長編である「騎士団長殺し」が発売された時も、僕は、《ランナー》村上春樹の本を読み直していたことを思い出す。
前述「走ることについて語るときに僕の語ること」とともに、その副読本とも言えるロングインタビューに痺れていた。
これは、2011年当時、「Number PLUS」に発表されたロングインタビューだ。
なんと、11ページにもわたって、ランニングと著作について語っている上、ランニングに関する質問に、村上春樹先生が答えていくQ&Aも満載。
この時、村上先生は、まだ50代。だから、発言も、質問の回答もとても生き生きしている。
それから約20年…。
今や、村上先生も、もう71歳だ。
しかし、創作意欲は全く衰えていないし、このインタビューの冒頭でも「ずーっと走ってますよ」と語っている。
ただ…。
今回のインタビューでは、こんなことも語っている。
タイムはどんどん落ちていくわけですから、僕は負け戦を闘っているんです。
あぁ、村上先生も疲れてしまったのかなぁ…と思ったのだけれど、でも、そうではなかった。
《負け戦》を《どう闘うか》ということが重要で、僕はその内容に胸を打たれてしまった。
やっぱり、村上先生は、超一流の作家であり、そして、ランナーなんだなぁということを実感。
村上春樹ファン、特にランナーは、このインタビューのためだけに購入しても損はないと思う。オススメ。