豪華絢爛。
文学とジャズは、大きな関わりを持っているけれど、かつて、ここまで深くジャズを取り下げた文芸誌はなかった。
まさに、渾身のジャズ特集だ。
特に、ハルキスト*1、ツツイスト*2にとっては一生の宝物になると思う。
今号の巻頭を飾るのは、19ページにも及ぶ、村上春樹先生のロングインタビュー。

小説、翻訳、エッセイなど、創作活動全てにおいて、ジャズと深い関わりを続けてきた、村上春樹先生。
その先生が、「個人的に一番思い入れがある」テナー・サックス奏者スタン・ゲッツとジャズの魅力について、思う存分語り尽くしている。
続いて誌面は、まさに《フリージャズ小説》と言える、筒井康隆先生の「ダンシングオールナイト」へ。

いやぁ、この小説が面白くて面白くて、声を出して笑った。
筒井先生自身のジャズ遍歴をなぞるように進み、ラストは、現代社会への痛烈な風刺にもなっているのだ。素晴らしすぎる。
そこから、山下洋輔先生×菊地成孔先生への対談へと続く流れがこれまた完璧。

この対談では、「山下・筒井文化圏」と「村上春樹文化圏」について、非常に興味深い内容が語られている。
村上春樹先生のインタビュー、筒井康隆先生の作品と合わせて読むと、その面白さが倍増する仕掛けになっているのだ。
雑誌の巻頭から、息もつかせぬ3本立ての構成が見事。
その他、ジャズ関連の創作1本、対談2本、評論2本を掲載しており、読み応えは十分。
しかも、それだけじゃない。

「ジャズ喫茶店店主が選ぶこの1枚と1冊」として、7人のジャズ喫茶店主が、オススメ本を語り…。

豪華執筆陣*3が「ジャズと私」について綴った、によるエッセイ+極私的3枚も掲載。
さらには…。

ジャズ関連のブックガイド(「小説篇」「評論・ノンフィクション篇」各20冊)までついている。
どこをとっても読み応えがあり、まさに永久保存版といえる。
雑誌は、原則的に《売り切り》であり、書店の店頭に並ぶ期間が短い。
また、今号の内容から言って、早々に品切となってしまうことも十分に考えられる。
気になる人は、早めのゲットがオススメだ。


