【前回のあらすじ】
池袋駅北口から徒歩1分。雑居ビルの4Fに上がると、そこはもう「中国」だった。
店内の貼り紙も、並べられている食品も、皆、中国人向け。
聞こえる言葉も中国語ばかり。
僕は、まるで中国に旅行しているような気分になり、なんだかワクワクしてしまった。
冷凍餃子も沢山あったので、今度は是非まとめて買い出しに来ようと思いつつ、僕は、この店の一角を占める「友誼食府」のエリアに入った。
「友誼食府」は、いわば、「友誼商店」ショッピングモールの中に設置された、フードコートという趣。
狭いスペースに5店舗、席も20席程度だから、非常にコンパクトなゾーンなのだけれど、なかなかどうして侮れない。
その空気感は、完全に中国と言って良く、どの店も、一筋縄ではいかない雰囲気を醸し出していた。
四川料理。
上海料理。
台湾屋台料理。
香港飲茶料理。いやはや、どれも魅力的で目移りする。
あぁ、ここは是非大勢で訪れていろんなものを食べたいなぁ。
しかし、この日の僕はひとりだったので、胃袋には限界がある。
どれもこれも食べたいという欲望をグッと抑えなければ。
と、思いつつ、5軒の店をつらつらと眺めていると…。
この店(香辣妹子)で、お姉さんが煮込んでいた串が気になった。
これだ。
冷串串という名前の料理で、麻辣風味のおでんというようなイメージ。
1本百円程度だったし、こんにゃくや野菜などの串もあったから、手始めにはちょうどいいような気がした。
ということで、数本選んで注文。
するとお姉さんは、僕にこんなカードを手渡した。
この店専用のプリペイドカードである。
その使い方は、このように案内されていた。
店頭では現金で支払うことができず、このカードでの支払いのみとなる。
注文した料理代金を、友誼商店側のレジで支払うと、その金額がこのカード内にチャージされ、それをまた、店に持って行って精算完了になるという仕組みだ。
しかも、このカードは各店ごとに貸し出されるため、店をまたいでの精算はできない。
なんだかちょっと面倒だなぁ…と思ったが、レジの所に貼ってある紙をよく読んだら、もっと便利に精算できることがわかった。
あらかじめ自分専用のカードを作って、それにチャージする形ならば、店をまたいでの精算も可能だったのだ。
今回僕がもらったカードは、自分専用カードを作りたくない人向けの「都度払い」バージョン。
ならば専用カードを作ろう!…と思ったが、とりあえず、その場では注文代金分をチャージしてもらって、店に戻った。
お姉さんは、「これが売れているんですよ」と言って、串にふりかける、自家製の香辛料をプッシュ。
僕が注文した串を抜いて、一品料理風に盛り付けてくれた。
いやぁ、いかにも本場の中華という感じで、美味しそうじゃないか。
唐辛子は思ったほど辛くなくて(お姉さんが控えめにしてくれたせいもあるだろうけれど)悪くない。
お腹もいい感じでこなれてきたので、僕はやおら、メインの料理を注文することに決めた。