時計台のすぐ隣。
札幌時計台ビルの地下に、とびきり旨い餃子を出す店があるという。
店の名は、順香(シュンシャン)。
札幌在住の友人や、札幌に詳しい餃子好きの人など、何人もの人から、「絶対に行くべき」と言われていたので、僕は、何度もその店を訪れようとした。
しかし…僕は2回も挫折を味わっている。
8年前の夜は、団体客が入っていると言われて門前払いを喰い、5年前の昼は、開店15分前から並んで、一番乗りをしたが、ランチタイムには餃子を扱っていないと言われ愕然。
何も注文せずに店を出てしまった。
その日は、昼便で帰郷せざるをえずに涙を吞んだが、ラン仲間が、僕の代わりに(?)食べて、その感想を伝えてくれた。
僕のスマホに届いた餃子の写真を見ていたら、僕は、いてもたってもいられなくなり、いつか絶対にリベンジしなければ、と心に誓っていた。
この店は日曜の夜は営業していないので、行くならば土曜の夜か月曜の夜しかない。
席は、20席ぐらいしかなかったと思うので、早めに動くのが吉。
ということで、レース前日、土曜日の夜。
僕は、ディナータイムの開店早々に駆けつけた。
あれ?
店の外観が、5年前となんとなく違う。
そんな思いを抱きながら入店して驚愕。めちゃめちゃ広い店に生まれ変わっていたからだ。
たぶん60席以上はあったろう。
僕が入店した時間(17:00過ぎ)は、ガラガラだったため、「そんなに急ぐことはなかったかも…」と思ったが、次から次へと予約客などが訪れ、18時頃には、半数以上のテーブルが埋まっていた。
いやぁ、やっぱりここは人気店なのだ。
メニューには、中国北方の家庭料理が並び、どれもこれも魅力的。
こんなおすすめ料理も気になった。
しかし僕は、これらの料理注文を、グッとこらえることにした
まずは、僕にとっての念願を叶えなければいけないからだ。
ということで、もちろん、焼餃子を注文。
餃子は、注文が入ってから包むようで、だから時間がかかる。それはわかっていたので、店内の写真などを撮りながら、僕は時間を潰していた。
注文してから、20分ぐらい経った頃…。
店の人が、「熱いのでお気をつけください」と言いながら、僕の目の前にそれを置いた。
8年越しの念願。焼餃子の登場だ!
ぷっくりとした、ボリューム感のあるフォルムが印象的。
そう。これだよ、僕はこれを食べたかったんだっ!
箸で持ってみると、ずっしりとした重量感。もちもちした皮の弾力も、箸伝いに感じられた。
いやぁ、これは期待できるぞ。
テーブル上には、自家製の辣油を初め、醤油や酢も用意されていたが、まずは、何もつけずに食べるのが、僕の流儀。
囓ってみよう。
うほほっ、熱々だ!
口内に飛び込んできた肉汁に驚いて、僕は、そんな叫びを上げそうになってしまった。
流石、店の人が「熱いのでお気をつけください」と言うだけのことはある。
皮はほんとにもちもちだし、具は、肉がたっぷり詰まって最高にジューシー。
八角が入っているのか、ちょっと薬膳っぽい味わいになっているのも、僕の好みだ。
味は十分についているので、何もつけなくても十分美味しいし、むしろ、つけないほうが、この餃子には合っていると思う。
僕は、8年越しの夢が叶って、本当に嬉しかった。
本来ならば、これとビールで、至福の餃ビーを味わいたいところなのだけれど、この日はレース前日。
僕は、ただでさえ完走できるかどうか怪しい(とこの時は思っていた)ので、アルコールをとるわけにはいかない。
ならば餃子ライスにする…という手もあったが、僕は第3の選択肢をとることにした。