電子化、デジタル化の波は、活字の世界においても急速に進んでいる。
「紙の本」が消えてしまうことはないだろうけれど、年々シュリンクしていくことは間違いない。
100年後には、もう、レアな存在になっている可能性まである。
そんな時代に…。
もしも、昭和の活字文化を紹介しようとするメディアがあったら。
もしも、当時の息吹を掴み取れなくて、困っている学者がいるとしたら。
僕はタイムマシンに乗ってでも、伝えに行きたい。
この雑誌1冊あれば十分だよ、と。
それぐらい、今回の「昭和40年男」は、素晴らしい。素晴らしすぎる。
僕が子供の頃にこよなく愛した、本や雑誌の魅力を、余すところなく伝えてくれているからだ。
これはもう、文化財と言っても過言ではないと思う。
目次を見ているだけでも胸が躍る。
もしも、こういったテーマに興味がある読書好きであれば、絶対に損しない本となっているので、永久保存版として購入をお勧め。
以下は蛇足になるが、僕が特に痺れたページをダイジェストで紹介させていただこう。
特集の扉ページに並ぶ本たち。
僕は、そのうち半分以上は読んでいたし、それ以外の本も、皆興味はあった。何もかもが懐かしくてたまらない。
巻頭の《俺たちの10冊+1》記事から、もう痺れまくりのラインナップ。
僕が子供の頃から敬愛する筒井康隆先生の渾身作「虚航船団」も掲載されており、超胸アツ。
星新一先生の「ノックの音が」などの文学作品から、山口百恵さんの「蒼い時」、矢沢永吉さんの「成り上がり」などのタレント本、1999年7月の到来が怖くてたまらなかった「ノストラダムスの大予言」まで、多種多彩な11冊。
僕は、どれもこれも貪り読んだことを思い出す。
1977年。星新一先生の激賞を受けて登場し、SF界に新風と衝撃を巻き起こした、新井素子先生のインタビュー記事がこれまた最高。
僕はデビュー当時からの大ファンなので、いやはやたまらなかった。
このインタビューは、新井素子先生の魅力を伝えてくれるとともに、当時のSF界についての状況も掴むことができるので、非常に貴重だ。
小学館の大日本百科事典!
平凡社の「世界大百科事典」とともに、この時代、こういった重量級の百科事典は、非常によく売れていた。
僕の家にもあったぐらいだから、結構浸透していたと思う。
当時は、こういった百科事典を所有していることで、《叡智》を得た気分になれたのだ。
僕は殆ど読まなかったけれど、それが本棚にあるだけでなんだか幸せだった。
今は何でもインターネットで簡単に調べられる時代だから、信じられないかも知れないけれど、本当の話だ。
ウルトラマンや仮面ライダーには、リアルタイムで痺れていたから、こういった本も買ったなぁ。
近年の話題作である「シン・ウルトラマン」「シン・仮面ライダー」のエッセンスが、これらの本の中にたっぷり詰まっている。
僕が子供の頃は、「週刊少年チャンピオン」の全盛期だった。
「ドカベン」「がきデカ」「マカロニほうれん荘」「750ライダー」「ブラック・ジャック」…どれもこれも最高。
僕は今、殆どコミックを読まないのだけれど、この頃のチャンピオンは、毎号欠かさず読んで、痺れまくっていたことを思い出す。
学研の「科学」と「学習」
本誌を読んだ印象は殆どなくて、僕の興味は付録だけw
僕は、この付録たちが好きで好きでたまらなかったのだ。
あぁぁぁぁ、懐かしい。たまらない。
玩具感覚で楽しく遊びながら、勉強、学習できるというコンセプトが実に画期的で、僕の子供心が大きく刺激された。
僕は毎号《次号予告》で、付録の内容を確認しては、発売(配達)までワクワクしながら待っていたほど。
「中一時代」や「中一コース」も買っていたなぁ。
どっちも好きだったが、1冊選ぶとなれば、僕は「時代」派。
当時の絶対アイドルであり、僕がこよなく好きだった山口百恵ちゃん(と、あえて言いたい。オジサンだねぇ。)が強力プッシュしていたからだ。
当時、百恵ちゃんがCMで歌っていた「中一時代」のテーマソング(?)は今でもソラで歌える。
わーたーしが読ーんでた中一時代。今あなたと中一時代♪
いやぁ、懐かしい。たまらない。
当時の雑誌たちを、ジャンル別のライバル対決形式で紹介する記事も最高。
あの頃、誰も彼もが持っていた情報誌たち。
絶対王者だった「ぴあ」もアウトロー的な魅力があった「シティロード」も、今はもうないんだよなぁ…。
今回の「昭和40年男」は、この他にも魅惑的な記事が山盛りで、どこをとってもハズレがない。
本好きであれば、絶対にハマる永久保存版だ。
超、超、超オススメ。
amazonには「Kindle本」もあるが、今回特集に関しては、若干高くても圧倒的に紙版の購入がオススメ。
Kindle版だと、著作権の関係なのか、表示できない画像(マンガ雑誌のコンテンツ部分やアイドル写真部分など)が結構あるので、ちょっと寂しくなるかもしれない。