餃子ランナーは電子機器の夢を見るか?

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川内優輝選手が考える「マスクラン」とは。「ソーシャルディスタンス」とは。

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メディアの人たちは、こういった情報をしっかり紹介して欲しい。

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川内優輝に聞くコロナ禍のランナーの心得 「本当に正しい情報かを考えて行動を」 - スポーツナビ

このインタビューを読んで、僕は、強くそう思った。

川内選手が語った内容は、まさに、僕が最近感じていた《モヤモヤ》を吹き飛ばしてくれているからである。

いかにも真面目な、しかも、市民ランナー目線に立った、川内選手らしい内容だ。

山中伸弥教授が提唱し、マスコミが煽っている「マスクラン」「バフラン」について、彼は、このように述べている。

ランニング時のマスク着用がエチケットというか、必ずしなければならないモノになってしまっている風潮は少し行き過ぎな気がします。
例えば、マスクをしているからといって至近距離で密集してしまっていいわけではないですからね。

川内選手が、マスクよりも重要だと訴えているのは、《ソーシャルディスタンス》をとることであり、それがとれない場合のみ、マスクを装着していると言う。

また、ソーシャルディスタンスについての考え方も、真摯だ。

最近、「運動時の飛沫感染を回避するために約10メートルの間隔が必要」という論文が発表され、それを山中教授が紹介、マスコミがとりあげたことについては、こう述べている。

確かにそうした論文が出されましたが、私が知る限りあくまでそれは中間報告というか、正しく実証されたものではないと聞いています。(中略)

現状は国際的にも2メートルのソーシャルディスタンスをということになっていますし、それが保てないところでマスク着用の配慮が必要とのことで、意識する順番が逆になるのもどうかなと思っています。

意識する順番が逆という意見に、僕は大きく膝を打った。

マスコミは、山中教授の意見を切り取って紹介し、ろくに検証もせず「ランニング時はマスク(バフ)必須」「ランナーは10mの距離をとるべき」という報道を垂れ流した。

それにより、現状、ランナーにとっては、とても厳しい目が向けられるようになってしまったからである。

川内選手は、そんな現状に警鐘を鳴らしているのだ。

5月1日、山中教授は、自身が発表したマスクやバフ装着などの「ジョギングエチケット」提案について、加筆して訂正を行っている。

教授曰く…。

休日の皇居や大阪城など、多数のランナーや散歩をされる方が集中する場所を念頭に置いて提案しています。人がまばらな時のジョギングや、グランドでの屋外スポーツに関する提案ではありません。

紹介している報告(ランナーは10mの距離をとること)は、さらなる科学的検証が必要です。

※色づけ、注釈は筆者による。

僕は、「あぁ、これを最初から言ってくれていればなぁ…。」と思わずにいられない。

昨日のエントリーでも書いたが、《加筆》などという形では、情報が伝わらないと思うからだ。

川内選手は、この点についても、的確な意見を述べている。

いまはネット社会で、何か情報が出れば著名人の方もSNSなどで反応しますし、1度出された情報はその後修正や削除されたとしても、そのまま拡散され続けてしまいますので、怖さを感じます。

デビュー当時から注目を浴び続け、マスコミやネットの怖さも知っている川内選手ならではの意見だと思う。

あの新聞に書いてあった、あの著名な方が言っていたとなれば信じてしまうのも理解できますが、一人一人が発信された情報をすべて鵜呑みにするのではなく、それが本当に正しい情報かどうかをしっかり考えて行動することが求められているのかなと思います。

まさに至言。

このインタビューにおいて、川内選手は、自身が、約2メートルのソーシャルディスタンスにこだわる根拠についても詳しく述べているが、その意見を押しつけるつもりはないと言う。

大事なことは、ひとりひとりが、しっかりと考えること。

その上で、このように結んでいる。

場合によっては(コロナをまき散らしていると)ランナーに社会的な厳しい目が向いているかもしれません。

そうした中で日々状況も変わっているので、情報を冷静に見極めることは大切です。まずはコロナに感染しない、感染させないということが第一。その「目的」を達成するための「手段」を、一人一人が冷静に考えることが大切だと思います。

あぁ、流石だなぁと僕は思った。

今を遡ること、1年半前。

シカゴマラソン翌日のオヘア国際空港で、川内選手から教えてもらったことを思い出す。

川内選手の座右の銘である《現状打破》は、今の状況にも、きっと当てはまる。

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今は、ランナーにとって(いや、誰にとっても)厳しい時期だけれど、そんな現状も、ひとりひとりがしっかり考えて、頑張れば、きっと打破できるのだ。

そんな思いを、僕は強く感じた。


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