スポーツ好きなら誰もが知っている「Sports Graphic Number」
今年で創刊42周年。雑誌不況の時代にあって、隔週刊スタイル*1で発行を継続。
2年前には1,000号も突破した伝統ある雑誌だ。
スポーツ総合雑誌を謳うだけあって、そのカバー範囲は幅広く、あらゆるスポーツを取り扱っている。
「旬」の話題に強いのも特徴で、オリンピックやワールドカップなどの時期には、見応えのある写真で総力特集を組むのが常だった。
その編集方針は実に柔軟で、単なるスポーツ誌にとどまってはいなかったけれど、流石に、この時は驚いた。
えっ?スポーツ誌なのに将棋?!と僕は大いに驚いたことを思い出す。
しかし、いざ購入してみると、納得。
「Number」ならではの切り口で、将棋をスポーツに見立てた誌面になっていたからだ。
その内容に感服した僕は、当時、こんなエントリーを書いている。
朝から深夜(時には未明)まで、知力と体力を振り絞って熱戦を繰り広げる棋士達たちは、まさにアスリートと言えるのではないか。
誌面には、そんな《将棋》アスリートの凄さが、上質の写真と記事で紹介されていた。
この時期は、藤井聡太ブームに乗って、多数の書籍や雑誌が発刊されたが、その中でも極めてハイレベルな内容となっており、流石は「Number」だなぁと唸ったことを思い出す。
「Number」初の将棋特集号(というか藤井聡太特集号というか…)は売れに売れて、その後、何度も、同誌では将棋特集が組まれた。
ここまで続ければ、もはや誰も「スポーツ誌で将棋?」とは驚かなくなってくる。
そんな「Sports Graphic Number」が、またしても僕らを驚かせてくれた。
一昨日、12月1日。
世間がカタールW杯の興奮に包まれているまっただ中、このような特集の最新号が発売されたからだ。
えっ?M-1グランプリ特集…?
確かに旬のネタではあるけれど、スポーツとはちょっと違うんじゃないか。
しかも、世間がW杯で盛り上がってるこの時期に、何もスポーツ誌が特集しなくてもいいんじゃないか。
などと思いながらゲットしたが、その内容は実に充実したものになっていた。
お笑い好き、M-1好きとしては、その目次を眺めているだけで、胸が躍った。
その内容も文句なし。
流石「Number」と言えるような美しい写真の数々と、読み応えのあるドキュメント、そして詳細な分析記事。
M-1好きにはたまらないものとなっており、永久保存版と言っても過言ではないだろう。
編集後記にはこのように書かれている。
スポーツは一定のルールのもとに選手たちが全力で競争し、勝負をつけるものですが、M-1は漫才を「採点競技化」したことで、漫才本来の面白さだけでなく、まさにスポーツと同じような感動や興奮を与えてくれる存在になっていると思います。
なるほど。
僕は、そういう視点でM-1グランプリを見たことはなかったが、言われてみれば納得だ。
編集後記は次のように続いている。
それにしても、W杯ドイツ戦での逆転劇には興奮しました。グループステージの3試合を総括した「臨時増刊号」を12月6日(首都圏基準)に発売します。ご期待ください。
僕は、ふたたび「なるほど」と感心。大いに納得した。
「Number」誌としても、本来はW杯特集を組みたかったのだろうが、12/1発売の通常号では、タイミング的に、グループステージ3試合の総括ができない。
だから、通常号は「M-1グランプリ特集」という変化球で凌ぎ、W杯のグループステージについては、臨時増刊号で、1冊まるごとたっぷり紹介しようということなのだ。きっと。
その思惑は、ピタリとハマった。
日本がスペインに勝利し、感動の決勝リーグ入りを決めてから、わずか3日目のタイミングで、臨時増刊号が発売となる。
いやぁ、商売が上手い。
これは間違いなくメチャメチャ売れる筈だ。
こういった駆け引きも、まさにスポーツと言えるのだろうなぁ。知らんけど。
*1:以前は月2回刊だったが、隔週に変更。実質的な発行サイクルは縮まっている。凄い。