藤井七冠が、初めて奪取したタイトルは、2020年の棋聖戦だった。
もはや遠い昔のような出来事なのだけれど、まだ、たった4年前の話だ。
この時、藤井新棋聖は17歳11ヶ月。
屋敷九段が1990年の8月に樹立した18歳6ヶ月を抜き、30年ぶりに新記録を達成した。
その後、あれよあれよという間に、将棋界のタイトルを奪取しまくっていく。
「六冠」獲得の時点から、史上最年少記録を塗り替えていたので、七冠獲得時も、もちろん最年少。
羽生永世七冠の時代には、存在しなかった叡王位も獲得し…
ついに、八冠にまで上り詰めた。
先日、惜しくも叡王位を失って七冠となったが、それでも無敵ぶりは変わらない。
今回の棋聖戦では、そんなダメージは全く感じさせず…。
圧巻の3連勝で、棋聖位を防衛。
僕は、個性溢れる棋風を持つ山ちゃん(山崎八段)の大ファンだったので、今回の棋戦では山ちゃんを応援し続けてきた。
しかし、そんな山ちゃん「らしさ」を完全に封じこめられ、無念の3連敗。
あらためて、藤井七冠の凄さを思い知った。
そんな藤井七冠は、今回の棋聖位奪取で、新たな称号を手にした。
史上最年少での永世位獲得だ。
21歳11か月での永世称号獲得は、中原誠十六世名人が持っていた記録(23歳11ヶ月)を53年ぶりに更新する史上最年少記録となった。
いやぁ、本当に凄い。凄すぎるとしか言えない。
7月6日からは渡辺明九段との、王位戦7番勝負が開幕する。
ここで王位を防衛すると、永世王位となるので、史上最年少での「ダブル永世」獲得となる。
このまま行くと、羽生九段が持つ「永世七冠」更新も、現実味を帯びてくる。
失った叡王位を取り戻せば、羽生九段の時代には達成できなかった「永世八冠」の実現まであり得るのだ。
いやはや、本当に、いったいどこまで《藤井時代》が続くのだろう。
伊藤新叡王はじめ、若手たちも台頭してきているので、今後の展開が大いに楽しみだ。