ハルキスト(村上主義者)*1にとって、たまらないニュースが飛び込んできた。
なんと、早稲田大学の構内に、村上春樹先生の資料館がオープンすることになったのである。
その名もズバリ、「村上春樹ライブラリー」
地上5階、地下1階建て。
12億円もの費用(ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が全額寄付!)をかけ、世界的な建築家である隈研吾さんが手がけた施設だ。
一般公開されるのは、当面、1階と2階、及び地下1階のみ。
公式Webサイトによると、展示内容は以下の通りとなっている。
地下1階
- 階段本棚:当館の特徴を示し、当館の象徴となる場所。建物外部の「トンネル」とも通じる、村上ワールドを体感する構造。
- カフェ:「人と物語と触れあう空間」をめざして、早大生が独自に運営・経営。
- ラウンジ:飲み物だけでなく、軽い食事も可能なスペースで、ゆったりと読書ができる空間。
- 「村上さんの書斎」:村上春樹さんの現在の書斎を再現。
1階
- ギャラリーラウンジ:木のぬくもりに包まれた読書空間。このエリアを進んだ奥の壁面に「村上春樹著作年譜」を掲出。
- オーディオルーム:村上さんの自室で鳴っているサウンドのエッセンスを伝えるオーディオシステム。文学と音楽の両方を楽しむ空間。
2階
- 展示室:村上文学に限らず、幅広い内容の企画展を開催。
- スタジオ:海外への発信を可能にする音響設備を設置。
- ラボ:ワークショップをはじめ、各種のセミナーを開催。日常的に来館者の研究・交流スペース。
いやはやこれは魅力的だ。
館内には、村上春樹先生がこれまで発表した全ての作品と関連書籍など、およそ3,000冊が展示されるという。
その他、村上先生の書斎を再現したスペースや、かつて村上先生が経営していたジャズ喫茶で流れていたレコードなどを聴くことができるオーディオルームなども設置されている。
10月1日の開館を前に、村上春樹先生は記者会見を行い、このように述べられた。
本当は僕が死んでから、こういう施設を作ってもらいたかったけれど、生きている間にできてしまって緊張しています。
できるだけ協力して僕のイメージする環境を作っていきたいと思うし、いろんな人の本や資料を加えて、幅広い流動的な研究施設になってほしい。
まさに、先生お墨付きの施設であり、ファンにとってはたまらないものとなりそうだ。
施設のコンセプトは、「物語を拓こう、心を語ろう」となっており、それについて、先生はこう語っている。
小説家だけではなく、人というのは日々自分の物語を作り続けるもので、意識的にせよ無意識的にせよ、自分の過去現在未来を物語化しないことには、うまく生きていけない。
でも、今の若い人は自分の未来についてポジティブな物語をうまく作れているだろうかと、最近よく考えます。
いつの世の中でも、理想みたいなものはあるべきだと思っていて、良質な物語のサンプルのようなものを示していくことが、小説家の役目だと思っています
いやぁ、もう、これは行くしかないではないか。
ただ、訪問のハードルは極めて高い。
施設の利用は、早大生に限らず、誰でも可能ではあるが、コロナ禍ということもあり、完全予約制。
来館予約は先着順で、来館希望日の1か月前の0時0分より予約受付開始となるのだがけれど…。
現状、9/24までの予約枠は全て埋まっているという状況で、人気の高さが窺える。
密を避けるため、予約枠毎の定員は30名に抑えられているから、予約さえとれれば、ゆったりのんびりと、「村上春樹ワールド」に浸ることができそうだ。
しばらくの間は、激戦、瞬殺必至だろうが、僕も、できるだけ早く訪れたいと思っている。
*1:村上春樹ファンは、《ハルキスト》と呼ばれることが多いが、村上春樹先生は、そのネーミングを気に入っておらず、「村上主義者と呼んで欲しい」と書いている。