今年の北海道マラソンは、スタート時点で、過去最高の暑さに見舞われた。
しかし、その前日は、それよりもさらに、猛烈に暑かった。
僕が札幌に到着した12時過ぎの気温は、なんと…。
36℃!
もあったからだ。
歩いているだけでも汗が噴き出してくる。
僕は、高温多湿の東京に住んでおり、暑さには強い方だと自負しているが、それでもやっぱり猛暑日はきつい。
僕は、大通公園でのランナー受付を早々に済ませると、猛暑で失ったエネルギーを補給するため、この店に入った。
1966年に創業した、札幌屈指の老舗ラーメン店「福来軒」だ。
店頭のテント看板には、「本店」「西岡店」の記載もあるが、この2店は既になく、今はこの「すすきの店」だけになっている。
入店して驚いたのが、大量の有名人色紙群。
カウンターだけ13席のコンパクトな店だが、その店内を、色紙たちが埋めている。
カウンター上。
店内の壁。
天井まで埋め尽くしている。
ちょっと年期が入ったサインが多く、昭和の時代に書かれたサインも沢山あった。
その割にお客さんが誰もいなかったのは気になったのだけれど、すすきの歓楽街の中にあるから、きっと、夜に賑わう店なのだろう。
メニューの種類は多くない。
店の外観は町中華風だったが、ここはあくまでラーメン専門店のようなので、自慢のラーメン5種類と、トッピング類、そして…。
「手作り焼きギョーザ」だけ。
そう。
僕は、この店の餃子が美味しいという情報を得て、猛暑の中を訪れたのだ。
ということで、カウンターに座るなり、餃子を注文。
するとすぐに、厨房内の店員さんからこう言われた。
「ラーメンは?」
短いフレーズだったが、言外には、「まさか、うちの店に来て、ラーメンを頼まないなんてことはないよな?」という、強い圧力を感じた。(あくまで個人の感想なので、念のためw)
僕は、その圧力に屈しそうになったが、それほどお腹が空いてなかったし、夜には別の店で餃子を食べる計画もあったので、胃に余力を残しておきたかった。
そのため、ちょっと怯えながら、いつものフレーズで急場を凌いだ。
「…とりあえず、まだいいです。」
店員さんは、不服そうな表情を見せた(個人の印象)が、餃子を焼き始めてくれた。
とりあえずも何も、この後ラーメンを注文するつもりはないのだから、できるだけ早く餃子を食べて退店しなければ。
そう思いつつも、僕は、追加でビールを注文することにした。
僕は基本的に、レース前日には飲まないことを信条としていたのだけれど、こんなに暑くては、やっぱりビールを飲まずにいられなかったのだ。
胃に余力を残すんじゃなかったのか?というツッコミが入りそうだが、ビールは別腹に入るので、問題なし。
たとえ飲んでも、少し歩けばあっという間に汗になる筈…という気もしたので、開き直って注文。
店員さんに、「ビールは餃子と一緒に出してください」と伝えると、「で、ラーメンは?」と言わんばかりの表情(個人の印象)を見せられたが、何とか承諾してもらい…
10分程度すると、それらは一緒に出てきた。
焼き色が美しい!
メニュー写真よりも、断然美味しそうじゃないか。
小ぶりながらも、手作り感を感じさせるし、間違いなくビールに合う筈。
しかもビールは、この地ならではのサッポロクラシック。
申し分ない餃ビーコンビだ。
囓ってみる。
いやぁ、旨いぞ!
サクサクの皮と、白菜ザクザクの具。
下味がついているので、何もつけなくても実にジューシー。
ニンニクもしっかり効いており、僕の好きなタイプの餃子だ。
サッポロクラシックとの相性も、もちろん抜群だった。
ただ、惜しむらくは、こぶりなので、あっという間に食べ終わってしまうこと。
僕は、もう1人前注文したくなったが…ラーメンを頼まずに餃子を追加注文する勇気がなかったため、諦めることにした。
別に悪いことをしているわけじゃないのだから、堂々と注文すれば良かったのだろうけれど…それができるような雰囲気ではなかったのだ。
ちょっと残念。