【前回のあらすじ】
東京メトロ、葛西駅から徒歩約5分。僕が訪れた店「鮮菜」は、豊富なメニューが売りの町中華店だった。メニューには、店側のおすすめ度合いを示す「金」「銀」「銅」の印が付与されていた。
餃子の種類もバラエティに飛んでおり、その全てが「金」「銀」だったことから、店の自慢料理であることがわかった。僕は、8種類の餃子が1個ずつ食べられる「餃子盛り合わせスペシャル」を注文。
ザーサイを食べ、店内の写真をつらつらと撮りながら、それが出てくるのを待っていた。
そして。
待ちに待った《餃子盛り合わせスペシャル》が、僕の目の前にやってきた。
それは全部で8種類の餃子だったが、2つの皿に分けて届けられた。
ひとつは、5種類の餃子が裏返しに盛られ…。
残りの3つは、小さな皿に、普通に盛りつけられて提供された。
待ちに待った、ビールとの競演。
僕は、「できれば、8種類の餃子は、ひとつの皿にドカっと持って欲しかったなぁ…」と思ったが、分けられたのには、理由があるようだった。
店主曰く…裏返してある5個の餃子は、カレー餃子などの《何もつけずに食べることができる》種類のもの。
残りの3つは、ノーマル餃子2種(緑色のものが「鮮一入り」)と売焼(マイヤキ)餃子で、醤油などをつけて食べて欲しいとのことだった。
まずは、オーソドックスなノーマル餃子から味わってみることにした。
柔らかい厚めの皮の中に、ざっくりと刻まれた、食べ応えのある具。
調味料などつけなくても、十分に美味しい。
《鮮一入り》の焼餃子。
《鮮一》とは、13種類以上の野菜をミキサーでブレンドし、特製スープで溶いた、この店オリジナルの食材だ。
ベースの具は、無印焼餃子と変わらないのだけれど、《鮮一》が加わった分、独特の味わいを醸し出している。
この店は、こだわりの店なのだなぁということがよくわかる餃子だった。
断面写真を撮り忘れてしまったが、赤色の皮を纏った売焼(マイヤキ)餃子が、これまた異色で最高だった。
これはなんと、アスパラトマト焼売の餡を具に使ったもので、僕は、餃子を食べているのに、焼売を食べているような不思議な感覚に陥った。
あるようでなかった餃子だと思う。
これも十分、何もつけなくても美味しかったが、焼売味だけに、辛子醤油などで食べたら、さらに良かったのかもしれない。
大皿の方に盛られた変わり種系の餃子も、それぞれ光っていた。
一口食べて驚いたのは、カレー餃子。
同種の餃子は、以前にも食べたことがあったけれど、これまでで一番、《カレー》の主張が強かったからだ。
ジャガイモやニンジンなどの具材がしっかり感じられる、スパイシーで本格的なカレーが、たっぷりと詰まっていて、最高。
厚めの皮との相性が抜群で、カレーの味を引き立てる。
よく考えてみれば、餃子の皮は、《ナン》などと同じく粉もんなのだから、カレーとの相性はいいに決まっているのだ。
同様の理由で、ピザを彷彿させるチートマ(チーズとトマト海鮮入りピッツァ味)餃子も良かった。
カレー餃子やチートマ餃子には、特製調味料である《鮮吉》《鮮次》が入ったバージョンもあり、これがまた、微妙な味変化を生み出していた。
いやはや本当に、この店はこだわりの店だ。
そして、餃子盛り合わせスペシャルの、真打ちとも言える餃子がこれ。
カニクリーム餃子。
1個で280円もするため、この店で圧倒的に高い餃子だったが、それに相応しい、本格的なカニクリームがたっぷり詰まっていた。
いわば、カニクリームコロッケの餃子版。
コロッケとして食べた方が美味しい具だとは思うけれど、これはこれで悪くない。
いや、なかなか美味しい。厚めで食べ応えのある皮が、濃厚な具の味を、しっかりと受け止めているからだ。
合計8個。1個1個の餃子が大きく、そして、具は本格的でたっぷり詰まっているので、僕のお腹は十分に満たされた。
…が、この日特別メニューとして掲示されていた「ラム焼餃子」も食べずにはいられなかった。
ラム焼餃子は4個で390円という価格設定だったが、店主によると、「一部他の餃子に変更も可」ということだった。
そのため僕は、ラム焼餃子を2個にし、カレー焼餃子と売焼餃子をおかわりすることにした。
到着。
オーソドックスな色合いの2個がラム焼餃子、裏返しになっているのがカレー餃子、そして、赤色の皮が売焼餃子だ。
ラム焼餃子は、肉の味わいがしっかりと感じられる本格的な餃子で、これもまた素晴らしかった。
出てくる餃子ひとつひとつに個性があり、本格的。
僕は、最高に気に入ってしまった。
ボリュームたっぷりの焼餃子12個と生ビールで、僕は、もうお腹いっぱい。
この店には、他に水餃子類もいくつかあり、《ひすい海鮮すい餃子》は気になったのだけれど、それは、次回訪問の楽しみに残しておくことにした。
バラエティに富んだ餃子を、1個単位で自由にチョイスできるから、餃子好き仲間で集まって食べれば、もっと楽しめる店だと思う。
こんな時代じゃなければなぁ…。