これは、永久保存版だ。
値段は1,700円なのでちょっと張るが、それだけの価値は十分ある。
丸ごと1冊筒井康隆特集。ツツイストなら、3食抜いても買うべきだと思う。コンテンツの詳細については、出版社Webサイトに掲載されているので詳しく述べないけれど、何といっても、目玉はこれだろう。
●筒井康隆Eメールインタビュー 「作家の軌跡と未来への指針」だ。
Eメールでのインタビューという形式は珍しいが、単なるアンケートのようなものではなく、3週間以上もかけたメール交換によるものだけに本格的。しかも、インタビュアーが、文芸評論家として名高い柘植光彦氏と、筒井康隆研究の第一人者である平石滋氏なのだから文句ない。筒井さんからの回答は、実に深く、素晴らしく、感服することしきり。まさにこの2人のインタビューだからこそ、ここまで答えていただけたのだろうと思う。
このインタビュー以外にも、内容は盛り沢山。まさに、「国文学 解釈と鑑賞」ならではの、実に本格的な筒井康隆論が並んでいる。筒井康隆研究のバイブルとして、永遠に語り継がれる特集となるだろう。
ただ、この雑誌で筒井康隆が特集されるのはこれが初めてではない。今を遡ること33年前、1978年の9月号でも、丸ごと1冊の筒井康隆特集が組まれている。
僕も当然持っていた筈だと、筒井作品が並ぶ本棚を探してみると…。
ボロボロorz。
発売当初は購入できず、バックナンバーを探し求めてようやく入手した雑誌で、その頃から美本ではなかった。ただ、ここまでには至っていなかった。かなり読み込んだし、経年劣化も激しいけれど、それにしても酷い。他の文庫本なども、かなり古びてしまっているが、ここまで悲惨な状態ではないから、自分でも唖然としている。
30ページ超にも及ぶ松田修氏との対談。若い頃、貪るように読んだなぁ。
今日対談内容を読み返してみて、あらためて感服した。これは本当に素晴らしい。それだけにボロボロぶりが悲しいので、古書店で購入することに決めた。
2011年9月号については、この轍を踏まないよう、大事に保管し、33年後でも美本のまま保っておきたいと思う。保存用に、もう1冊買っておくことも検討中(^^;
(補記)
この「国文学 解釈と鑑賞」誌は、2011年9月発売の10月号(通算965号)限りで休刊となるらしい。75年も続いてきた老舗の雑誌が消えてしまうのは、本当に残念だ。
国文学の研究雑誌としては、唯一無二と言える存在であっただけに、この休刊は衝撃だ。本当に、雑誌の厳しい時代なのだなぁ…。
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