とっても寒い夜明け前から始まった、僕のショートトリップ。
東京マラソンコース、皇居を駆け抜け…。
夜明けの銀座を経て、築地市場を彷徨い…。
「ふぢの」でビールを堪能した。
しかし、もちろん、それで終わりではない。僕は、冷たい身体を震わせながら、主役の登場を待っていた。
そんな僕の目の前に、ほどなく現れたのは…。
焼売だった。
店内の写真でも推薦されていた、この店の名物の一つ。
1人前は4個だったが、僕は、半人前を注文。だから、たった2個だったけれど、千切りのキャベツが添えられていて、嬉しかった。
箸を入れてみると、実に柔らかく、簡単に切ることができた。
しっかりと蒸し上げられていて、ほくほく。肉とタマネギのバランスが絶妙。実に甘くて、美味しい。
寒中ロングランで、震えた身体に、優しい味が染み渡った。
この焼売を食べられただけでも、ここに来た甲斐があったなぁ…と思ったほど。
しかし僕は、焼売が目的で、走ってきた訳じゃない。だから、僕にとっての「真の主役」が出てくるのを心待ちにしていた。
ただ、入店後しばらく経っても、なかなかそれは出てこなかった。
僕の後に注文された、ラーメンなんかは続々運ばれているというのに!
もしかして、自分の注文が忘れられているんじゃないだろうか…?
と思い始めてきた頃、僕の目の前に、この小皿が置かれた。
「ふのぢ」…?いや、「ふぢの」だ。
店のネーミングが書かれた、特製の小皿だった。どうやら、これにタレを入れてくれ、ということらしい。
専用の小皿が出てくると言うことは、主役も間もなく登場する筈と思い、ワクワクしながら、さらに数分待っていると…。
来たーーっ!
いやぁ、この瞬間を、どれだけ心待ちにしていたことだろう。
そう、僕はこの焼餃子を食べるために、夜明け前から走り続けて、築地市場にやってきたのだ。
黄金色の筐体は、とても美しく、僕の心をそそった。
その味も、実に僕好みだった。
ニラとニンニクがしっかり効いて、いい仕事をしている。肉の風味もしっかりあって、ジューシー。
何もつけなくても美味しい餃子だ。
僕は、一口囓ることに癒やされ、心も身体が温まるのを感じていた。
寒中を走り続けてきた上、店内でも結構待たされたので、僕の期待値はかなり上がっていたのだけれど、それを十分に満たしてくれる美味しさ。
あぁ、ここまで走ってきて良かったなぁ…。僕は、そんな幸せに酔いしれた。
夜明け前ロングランの打ち上げとしては、最高のシチュエーションだった。
早朝から、ビールとともに、美味しい餃子が食べられる幸せ。いやはやたまらない。
築地市場が豊洲に移転してしまうと、これも難しくなるなぁ…と思ったのだけれど、よく考えてみると、そうでもないことに気がついた。
築地~豊洲間は、「たった」3kmあまりの距離。
遠いと感じる人もいるだろうけれど、ランナー的には短距離だ。
僕の家から築地までは、皇居周回を含めて25km。それに3km加わったところで、果たして問題があるだろうか。(いや、ない。)
ということで、「ふぢの」が豊洲市場内に移転した際には、また、記念ランでも行おうと思うw