【前回のあらすじ】
先週の土曜日。夜明け前の皇居外周ランを経て、僕は、豊洲市場へ向かった。
2年前、丑の日限定の「うなぎランナー」として、豊洲市場まで走った時は、激しい雨で、心が折れそうになったけれど、今回は好天に恵まれた。
銀座を経て、勝鬨(かちどき)橋を超え、僕は、ついに豊洲市場へ到達。
一般開場時刻(午前5時)の15分前に到着したので、まだ、列に並んでいたのは10人程度。
僕は、バフから不織布マスクに付け替えて、心躍らせながら、開場の時刻を待った。
いざ、開場!
僕は、一番乗りを目指して、一目散で飲食店街へ向かった。
その入口にあったマップで、店の場所を確かめる。
2年前。うなぎランナーとして訪れた「福せん」は右上の隅。
3年前、築地市場時代に訪れて、早朝餃ビーをした「ふぢの」は、左ブロックの上から3番目にあった。
しかし…。
僕の目指していた店、「やじ満」は、何度確かめても、そのマップの中には見つからなかった。
僕は、一瞬頭が真っ白になった。そんなバカな。
豊洲市場に「やじ満」が存在していることは、店舗公式のTwitterでも確認済みだった。
それなのに、なぜ、見つからないんだ!
僕は、ちょっとパニックになりながら、近くにいた警備員に、Twitterの画面を示し、「ここに行きたいんですけど…。」と尋ねた。
すると警備員は、笑顔で僕にこう告げた。
「あっ。やじ満さんね。それなら、はす向かいの建物の中にありますよ。」と言った。
えっ…?
ここでようやく僕は気がついた。
豊洲市場内の飲食店は、何カ所かに分散して存在していたのである。
その時、僕が警備員と話していた場所は、水産仲卸売場棟の3F。
しかし、目指す「やじ満」は、道路を挟んで向かい側にある、管理施設棟3階に存在していたのだ。
その場所にあることは、店舗公式のTwitterにもちゃんと記載されていたのに、僕は、すっかりそれを見逃していた。バカすぎだ。
僕は慌てて水産仲卸売場棟を出て、向かいにある管理施設棟を目指して走った。
この入口で、再び、アルコール消毒、検温などを実施し、いざ、店舗へ向かうと…。
店内はすでに満員だったorz
時刻は午前5時5分。わずか5分のロスだったのに、一気に満員になってしまったようだ。
料理は誰も出てきていない感じだったので、皆、入店したばかり…ということだろう。
となると、相当待たなければいけないなぁ。
本当ならば、開店と同時に入れていた筈なのに…と思って落ち込んでいたところ、店員さんが、中から僕に声をかけてくれた。
「そこのテーブル席でしたら、入れますけど。」
「テーブル席…?」
僕は、一瞬何のことかよくわからなかったが、店員さんが示してくれた場所を見て、理解した。
店の右端に、飛び地のようなテーブル席が存在していたのだ。
もちろん、喜んで入店。
どうやらここは、カウンターが埋まっているときの待機席的な位置づけのようだった。
だから、料理は店員さんが運んでくれるわけではなく、自分でカウンターまで取りに行く必要があった。
しかし、外で待つよりは断然いいし…。
店内をゆったり見渡せるので、これはこれで悪くないと思った。
テーブル席の横には、「やじ満物語り」という手書きメッセージが掲げられていた。
「やじ満」は、創業70年の伝統を誇る店なのだが、それに縛られず、個性と現代を盛り込むとの心意気が書かれており、僕はちょっと胸が熱くなった。
その言葉通り、「やじ満」は、個性と現代を盛り込んでいる。
ほぼ毎日、Twitterなどで最新情報を発信したり、日替わりの「メニューにないメニュー」を提供。
その内容も実に魅力的で、だからこそ僕も、絶対ここを訪れたい!と思ったのだ。
僕は、それがようやく実現できたことに感慨を覚え、まずは、やっぱりビールを堪能しようと思った。
思えば、夜明け前から、それを楽しみにここまで走ってきたのである。
開店直後に入れなかったのは痛恨だったけれど、でも、それほどロスなく入店できたし、結果オーライ。
アフターランのご褒美として、やっぱりここは、ビールの一手だ。
豊洲市場内の店は、自粛しても協力金が支給されないため、緊急事態宣言中でも酒類を提供している店があった。
しかし、「やじ満」は、緊急事態宣言中の酒類提供を自粛。
やじ満の酒類提供についてご心配されているお客さまへ
— やじ満 (@toyosu_yajima) 2021年4月28日
東京都の判断により、市場内の飲食店は酒類提供が可能となったこと、存じあげております。しかしやじ満は、お客さまの死活問題となっている酒類を、その方を前にヘーキな顔で提供することはできません😢予防対策を兼ねて11日まで酒類❌お許しを🙇🏻♀️
酒類提供についての捕捉
— やじ満 (@toyosu_yajima) 2021年4月28日
市場内飲食店は、アルコール提供を停止しても『協力金は出ません。』平たく言うと、協力金の代わりに、酒類提供は各お店の判断に任せると。決して、飲食店の反乱や逆襲ではありません。都が市場と市場以外の飲食店の制度を変えることがこじらせの原因。揉めたくない心から😢
自粛協力金も出ないのに、酒を提供せず、さらには緊急事態宣言がずるずると延長になったことで、かなり営業は厳しかったと思う。
しかし、「まん防」への移行に伴って、それがようやく解禁された。*1
だからやっぱり、飲まずにはいられない。
ということで、僕は、ビールと、ザーサイ漬けを注文。ほどなくそれは登場した。
中瓶のビールは、サッポロラガーの赤星だった。
いやはや、これが旨かったのなんの。五臓六腑に染み渡る、とはこのこと。
ここまで走ってきて本当に良かったなぁ…。
僕は幸せを噛みしめながら、店内のメニューを見渡した。
さぁ、メイン料理を注文だ!
*1:「まん防」に伴う酒類提供可能時間は、午前11時~午後7時に限られているが、市場内の店には適用されない。そもそも、午前11時以前が、なぜダメなのかという根拠が不明だし、市場の営業時間(午前5時~午後3時)を考えれば、酒の提供は、ごく自然だ。