JR総武線の平井駅から、徒歩約5分。
閑静な住宅街の片隅に、ぽつんと、その店は存在していた。
店の名は「東東」。読み方は、トントン。
昔上野動物園にいたパンダの名前と同音になるが、あれは、「童童」と書いてトントンだったので、全く関係はない。(だから何なんだ的トリビアw)
店名の由来は、店の場所が、《東京の東》に位置するからだそうだ。
いかにも昭和の町中華と言った感じの佇まいが魅力的だし、店の電話番号下四桁「8349」に「ヤサシク」というルビが入っているのもいい。
僕は、ワクワクしながら暖簾を潜った。
店内は、カウンター席とテーブル席を合わせて15席程度。
こじんまりと、小綺麗な感じでまとまっていた。
僕は、テーブル席に座り、とりあえずビール…と、お新香を注文。
いやぁ、このお新香が実に美味しかった。
200円でボリュームたっぷり。絶妙の塩味がついていて、ビールとの相性は抜群。
こういった小品のレベルが高い店は、当然、メインの料理も美味しいのが常。
僕は、大いに期待した。
焼き餃子は、マストなので、もちろん注文。
気になったのは、その下。「揚げ餃子」はわかるけれど、「ウマ煮餃子」って何だろう?
気になったので、女将さんに尋ねてみると、「焼き餃子の上に、野菜のあんかけをかけたものです。」とのこと。
へぇ。僕は初めて聞いたので、ちょっと驚いた。
食べてみたいとは思ったが、まずは、基本の焼き餃子を食べてから考えることにした。
ベースの焼き餃子が外れだった場合、後悔することになるからだ。
しかし、そんな心配は、焼き餃子が出てきた途端に払拭された。
うぉー。旨そう!
カリッカリの焼き色。パンパンに具が詰まって膨れ上がったビジュアル。これはもう、絶対に旨い。囓ってみる。
旨いぞ!
と、声に出して叫びたくなるほど、やっぱりこの餃子は美味しかった。
もっちもち&カリッカリの薄皮が味わい深く、たっぷり詰め込まれた具を絶妙に受け止めている。
具の下味はそれほどついていないので、普通に酢醤油が合う。
この餃子なら、野菜あんかけとの相性も抜群な筈だ。
ということで、僕は、ウマ煮餃子を注文した。
すると…。
ウマ煮餃子、登場!
たっぷりの野菜あんかけが、餃子を包み込んでいる。中華丼の焼き餃子バージョンといった趣だ。
僕は初体験のメニューだったのだけれど、よく考えれば、それほど不思議ではない。
餃子の本場、中国では、《餃子は主食》という位置づけなのだから、中華丼のご飯代わりに餃子が使われていると思えばいいのだ。
「中国には、中華丼なんてないんだよ」とか「中国では、焼き餃子じゃなくて水餃子がメインでしょ」とか言われそうな気もするけれど、まぁ、そこはご愛敬。
具の味に癖がない、この焼き餃子ならば、ウマ煮との相性は申し分ない筈だ。
うん、やっぱり合う!
あんかけをからめて食べると、焼き餃子がいちだんと味わい深く感じられるようになった。
カリカリの皮とあんかけの相性も素晴らしく、僕はちょっと感動してしまった。
ボリュームも十分で、僕は、この日、この2品でお腹いっぱいになってしまったほど。
本当は揚げ餃子も食べたかったところだったのだけれど、断念。
でも、最高の店だということがわかったので、是非また再訪して、今度は揚げ餃子にチャレンジしてみようと思う。