時刻は、午前4時。
そんな時間なのに、絶賛営業中の大山「華福」。
ただし、店内の客は僕ひとり。
ランニングスタイルの出で立ちで、いきなり飛び込んだ客を、暖かいおしぼりで迎えてくれた店員は、僕の注文をひたすら待っていた。
焼餃子か水餃子か…という究極の二択に心悩ませること、数分間。
僕は、ついに大きな決断をして、店員に注文を告げた。
それからしばし間が空いて、店員が「お飲み物はよろしいですか?」と告げてくる。
僕は、「はい、水をお願いします。」と答える。
以前は、こういったやりとりにちょっと躊躇いを覚えていた(飲み物などを注文しないと申し訳ないと思っていた)のだけれど、最近は、気にならなくなっていた。
僕がこういった注文を行うのは、もっぱら飲み屋じゃなく、あくまで中華料理店。
例えばランチタイムなどであれば、飲み物などは別途注文しないし、お通しだってない。そう考えれば、失礼にはあたらないと思う。
とはいえ。
今回は少し居心地が悪かった。まだ未明のこんな時間に、僕だけのために料理を作ってもらっているからだ。
ただ、店としても、暇を持て余しているよりは、ちょっとした刺激になって(?)いいだろう、と、勝手な解釈を行うことにして、僕は待ち続けた。
待つこと10分程度。
ついに、僕が待ち侘びたものが出てきた。
焼餃子、来たーっ!
形はちょっといびつだけれど、圧巻の羽根がついた焼餃子の登場だ。
実は、待っている間も、厨房の奥から、じりじりと、皮の焼ける音が聞こえてきて、胸がときめいていたのである。
そんなワクワク感は、水餃子では得られない。
あぁ、焼餃子に決めて良かった、と思った。
iPhone SEと比較すると、こんな感じ。
どちらかと言えば小ぶりで、サイズはそれほど大きくない。
ただ、1人前320円(税込)という価格を考えれば納得だし、僕だけのために作ってくれた手間暇を考えると、安すぎるとさえ思う。
さらに…。
専用のつけダレまでついてきて、本格的だ。
僕は、餃子の羽根についてはあまりこだわりを持っていないし、「別になくても困らない」派。
ただ、この店においては、その羽根こそが重要な役割を持っていると感じた。
羽根と焼餃子本体のバランスが絶妙なのだ。
餃子の皮のもちもち感と羽根のサクサク感。このバランスが実に素晴らしい。
羽根が大きくて食べ応えがあるため、そのコンビネーションが十分に堪能できる。
餃子を囓ってみた。
下味はついていない…?かと思ったが、噛みしめているうちに、肉の旨味が溢れ出てくる。
小ぶりな餃子ではあるものの、具はしっかりと詰まっているし、実に満足度が高い。
羽根と皮の見事なコンビネーションに、具のジューシーさが加わり、まさに、三位一体。至福の美味しさだ。
つけダレは、ちょっと甘め。
この餃子専用に作られているだけあって、これもまた素晴らしく、つけて食べると、さらに美味しさが引き立つ気がした。
こんな未明の時間帯に、たった320円で得られる幸せ。いやはやたまらない。
そんな思いを抱きながら、僕は焼餃子を完食。
あぁ、水餃子も、そして他の料理も食べてみたい…と思ったが、それ以上食べると、その後走れなくなってしまうような気がしたので、断念した。
しかし、この店は、ゆったりと、是非また訪れたいと思ったし、圧巻の羽根つき餃子には、絶対にビールが合う!筈なので、今度はゆったりと夕食でも食べに訪れることにしよう。