東京都中央区日本橋。
日比谷線小伝馬町駅前交差点の一等地に、その店はひっそりと存在している。
店名を示す看板もなければ、のれんの掲示も不完全で、「中華料理」の筈が「中○○理」となってしまっている。
入口は磨りガラスになっているから、店内の様子を見ることも出来ない。
一見さんには、かなり敷居の高い店だ。
しかし、勇気を持って扉を開ければ…。
レトロな世界が出迎えてくれる。
お世辞にも綺麗とはいえないが、ノスタルジアを感じる昭和空間だ。
片隅では、サラリーマン3人組が盛り上がっており、常連と思われるオジサンは、腕組みをしながら瞑想に耽っていた。
僕は、その手前の席に座り、壁のメニューを眺める。
中華料理がひと通り揃っているほか、つまみ類も豊富。
昭和価格…とは言えないが、立地を考えれば頑張っていると思う。
ビールの大瓶が500円というのはお得で、呑兵衛には優しい店だ。
餃子は、自家製をアピール。これは期待できそうだ。
ビール大瓶が500円で、餃子が410円なので、餃ビーセットで1,000円を切る。
それでも十分魅力的なのだけれど…。
こんなセットが用意されている。
餃ビープラス90円で、モロキウ(もろきゅう)がついてくるなら、断然こっちの方がお得なので、もちろんこちらを注文。
まずは、この一式が出てきた。
ビールはサッポロラガーの赤星。これを飲める店はそんなに多くないので、嬉しい。
しかも大瓶なのだから、尚更。
セットのモロキウに加えて、ビールには別途お新香もついてくるようだ。素晴らしい。
僕は、胡瓜を囓りながら、赤星を堪能し、やおら店内を眺めてみた。
テーブルの上には、各種調味料が雑然と置かれている。
市販ボトルのミツカン酢がドカンと置かれていて、その近くに、消毒用のアルコールが並んでいるのには、ちょっと驚いた。
しかし、そういったカオスなところも、この店の雰囲気には合っている気がした。
厨房は2階にあるようで、料理ができると、リフトで上から降りてくる仕組み。
このリフトが、かなり老巧化したビジュアルで衝撃だったのだけれど、まぁ、昭和から使われているのだろうと考えると、ちょっと感慨深くもなる。
この時、2階からやってきたのは、僕の餃子だ。
そしてそれは、ほどなく僕の目の前に運ばれてきた。
ちょっと焦げ気味で、正直、あまり美味しそうには見えなかったが、まぁ、それも昭和な店ならではの魅力だと思うことにした。(意味不明w)
ビールとの競演。
昭和だろうが令和だろうが、この組み合わせは、史上最強の鉄壁コンビだ。
囓ってみる。
コーンが入っている!
しっかりと濃い味がついているので、そのままで十分美味しい。
野菜の歯応えがしっかり残っていて、手作り感を感じさせるし、コーンの甘みがいいアクセントになっている。
皮はちょっと柔らかめだけれど、悪くない。
ニラ玉がこれまた最高だった。
ワイルドなニラの海が、半熟気味の玉子と絶妙に絡み合って、僕の好きなタイプのニラ玉だ。
ちょっと焦げているニラもあったけれど、それがまた、昭和っぽくて(?)悪くない。
味つけが濃くて、ビールにもぴったり。
この日、僕は、昭和にタイムスリップした空間で、最高の餃ビー&ニラ玉を堪能した。
とても居心地がいい店だったし、他にも気になる料理があったので、是非とも再訪したいと思っている。