僕は、町中華巡りが大好きなのだけれど、ラーメンなどの麺類は殆ど食べない。
ただ、冷やし中華だけは別。
夏限定の爽やかな料理だし、その甘酸っぱい味わいが、なぜか妙に恋しくなる時がある。
町中華の店で、《冷やし中華 始めました》のポスターを見ると、「あぁ、もう夏なんだなぁ」と思う。
そう。こんなポスターだ。
冷やし中華と言えば、このポスターに描かれた絵の通り、「キュウリ、ハム、錦糸卵、トマト、ゆで卵」の具が定番で、《五目》になると、それにプラスアルファがあると考えるのが普通だろう。
しかし、そういった既成概念とは全く異なる五目冷やし中華が食べられる店がある。
墨田区東向島にある「味の横綱」
京成線の曳舟駅から徒歩数分。国道6号線(水戸街道)沿いに佇む町中華だ。
僕は、以前SNSの町中華コミュニティで、この店の冷やし中華が紹介された時にビビッときた。
しかし、僕がそれに気がついたのが、昨年夏の終わり。
冷やし中華の取り扱いが終了しており、悔しい思いをしたことを思い出す。
ということで、1年越しのリベンジを行うため、先日、この店を訪れた。
店内は、カウンターのみ15席のコンパクトなレイアウト。
僕はその片隅に座り、店の奥を見渡してみる。
ちょっと驚いたのは、コカコーラの自動販売機が鎮座していたこと。ジュース類の注文はこちらで、ということなのだろうか?!
自動販売機の左側には…。
「冷やし中華」と書かれたポスターらしきものが掲示されていた。
よし。大丈夫だ。注文できる。
メニューを眺めてみると、冷やし中華のバリエーションが6種類もあって、ちょっと衝撃。
カニ冷やしやキムチ冷やしにも興味を惹かれたけれど、ここは、初志貫徹。
僕は、「五目冷やし中華」を注文した。
待つこと10分程度。僕の眼前にそれが運ばれてきた。
おぉ、これだっ!
このビジュアルに会いたくて、昨年から、ずっと楽しみにしていたのである。
冷やし中華の定番である、キュウリ、ハム、錦糸卵などが見つからず、目玉焼きに伊達巻きが、大きく存在を主張。
チャーシューやなると、わかめ、もやしなどなど、とにかく具がたっぷり盛り込まれており、麺の姿が確認できないほど。
いやぁ、これはかなり独創的な冷やし中華だぞ。
僕の隣に座っていた人が、たまたま「ノーマル」の冷やし中華を注文したので、そのビジュアルを確認してみたら、きゅうりやハムなどがたっぷり乗った、ごくオーソドックスなものだった。
それがなぜ、五目になると、ここまで変身してしまうのだろう。実に興味深い。
分け入ってみても、さながらもやし炒めのような具がたっぷり入っていて、麺はその下。
本来ならば、麺のリフトアップ写真も掲載したかったのだけれど、僕は、その確認をすっかり忘れてしまった。痛恨だ。
ただ、それは、写真をとることを忘れ去れてしまうぐらい、この冷やし中華が特別で絶品だったという証でもある。
麺は、浅草開化楼のものらしいから、その美味しさにも納得。
ボリュームたっぷりの具たちと、それに負けない麺。いやぁ、素晴らしい。
僕は、すっかりお腹いっぱいになり、他の料理を注文することができなかったほど。
ということで、完食後すぐ、僕は再度この店を訪れることに決意した。