今年、2017年。
夏に座骨神経痛を発症して以来、哀しいかな、僕の趣味は大きく制約を受けることになった。
ひとつは、ランニング。
のんびり軽く走っている分には問題がないのだけれど、スピードを出そうとしたり、ロングランをすると痛みが出てくる。
僕は、もともとスピードのないランナーだから、距離を踏む練習で何とか結果を出してきただけに、今の状態は非常に苦しい。
そして、もうひとつは、映画。
もちろん、家のTVで観賞する分には、全く問題はない。座骨神経痛であっても、寝っ転がりながら眺めることができるからだ。
僕は 、とりわけ洋画が好きなのだけれど、最近は、レンタルビデオなどを借りなくても…。
こういった映画たちを無料で*1楽しむことができる。
いやぁ、いい時代になったものだと思うが、やっぱり、話題のロードショー作品は、上映開始から映画館で見たい。
僕は、映画館の雰囲気も含めて、映画が大好きなのだ。
そうなった時に、座骨神経痛は、僕の大きな敵になる。同じ姿勢でずっと座り続けているのがとにかく一番つらいので、映画館での劇場鑑賞は、本当に厳しい。
そのため、最近は、映画館に出かける足が重くなってしまっているのだ。あぁ。
ということで、主に(座骨神経痛を発症する前の)上半期中心になってしまうが、今年見てきた映画たちを振り返ってみようと思う。
「MERU」
いやぁ、驚いた。まさかこれが実話とは。雪山の怖さ、MERUの恐ろしさに驚愕するとともに、そんな山に挑む、クライマーたちの凄さに唸った。
今年、一番最初に見た映画。
ドキュメンタリー系の冒険映画で、僕は普段あまり見ないジャンルなのだけれど、この映画にはぐいぐい引き込まれた。
いやぁ、凄い男たちがいるものだなぁ…。と新年早々、唸ったことを思い出す。
「NERVE」
映画の舞台は、現代のニューヨーク、スタテン島から始まる。
主役となるのは、内気なヒロインだ。思いを寄せる男性に、声をかけることさえできなかった女性が、とあるきっかけで、「NERVE」と呼ばれるインターネット上のゲームに参加した途端…。
「MERU」とハシゴして、同日に鑑賞。
僕の好きなタイプの近未来SF。ちょっとエスカレートしすぎなんじゃないかと思うところもあるのだけれど、そういった点も含めて、気楽に楽しめる映画だった。
そして。
「ラ・ラ・ランド」
ミュージカルや恋愛系が得意じゃなくても、「映画好き」であるならば、きっと、いつの間にか痺れている映画だと思う。
エンドロールが終わっても、しばらくは、その音楽の余韻が残る。これは、サントラ版を入手しておきたい映画だなぁとも思った。
今年上半期最大の話題作。
アカデミー賞の各賞を総なめするんじゃないかと言われていたので、何としても、授賞式の前に見ておきたくて、勇んで鑑賞。
前評判に違わぬ傑作で、僕は、大いにその内容を堪能した。
特に音楽面は素晴らしく、僕は、サントラ盤を購入して、しばらくはランのお供にしていたことを思い出す。
で、授賞式での結果を楽しみにしていたところ、あっと驚く結末が待っていた。
なんと、いったん「ラ・ラ・ランド」と発表された作品賞が、間違いであることが発覚したのである。
これは、アカデミー賞史上に残る事件と言えるのではなかろうか。
実際の作品賞は、こちら。
「ムーンライト」
テーマがテーマだけに、「ラ・ラ・ランド」のように、気楽に楽しめる映画ではない。(中略)
「ラ・ラ・ランド」と同じく、愛と切なさをテーマにした作品ではあるけれど、この作品に出てくる愛は、そのベクトルが全く異なるからだ。
「ラ・ラ・ランド」が太陽の輝きをもった映画だとすれば、この映画は、その名の通り、ムーンライトに照らされたような、静謐さを醸し出している。
「ラ・ラ・ランド」も、決して明るいだけの映画ではないのだけれど、その素晴らしさ、面白さは、皆で語り合うことができると思う。
しかし、この映画、「ムーンライト」は、違う。静かに、ひっそりと、鑑賞者の心に染みこんでくる。
そういった意味で、批評家好みの映画、と言えるのかもしれない。
「ライオン 25年目のただいま」
この映画の真の主役は、ポスターのクレジットにも表記されていない、「無名の」子役、サニー・パワールだ。
もしも今年のアカデミー賞に、子役賞があったなら…。
そう思ってしまうほど、僕は、この子役の瞳、せつない演技に引き込まれた。
この映画は、子役に尽きる。
エントリーの時にも書いたけれど、子役の瞳が素晴らしすぎて、今でも僕は、そのシーンを思い出してしまうほど。
インドが舞台になっているのも、とても良かった。
「マンチェスター・バイ・ザ・シー」
ちょっと重たいテーマの映画なのに、ところどころに、さりげないユーモアも散りばめられていて、ぐいぐいと惹きつけられる。前半で、ちょっとわかりにくかった部分や、「何だかなぁ…」と思っていた部分が、次々と氷解していく瞬間、僕は、心を打たれずにはいられなかった。
圧巻!切なさの余韻が後を引く「マンチェスター・バイ・ザ・シー」の137分
ちょっと地味なタイプの作品であるが、これは、まごうことなき傑作だ。
今年のアカデミー賞でも、主演男優賞と脚本賞という重要な二部門を受賞しており、見終わってみると、それも納得。
鑑賞後、しばらく、切ない気持ちが残り続けたことを思い出す。これを書いていたら、また、もう1度見たくなってきた。
「メッセージ」
クライマックスの息詰まる展開は、全く原作になく、映画ならではのスリリングさをもって、胸に迫ってくる。これは素晴らしい。素晴らしすぎる。
本格的なSF作品としては、「2001年宇宙の旅」「未知との遭遇」クラスの、後生に残る映画だと思う。
余韻が残る映画…と言えば、これもそう。
原作があまりの傑作だけに、映画化されてどうなのだろう…と思いながら鑑賞したのだけれど、いい意味で大きく裏切られた。
SF映画としてのイマジネーションを、最大限に感じさせてくれる大傑作。
「パトリオット・デイ」
僕は、ここで、自然に涙が出てくるのを抑えられなかった。テロに対する怒りがあらためてこみ上げてきたし、それと戦い、勝ち抜いた、ボストン市民の強さをあらためて感じた。
僕は、ここで、自然に涙が出てくるのを抑えられなかった。
いつかはボストンマラソン…を目指している僕にとって、この映画は、絶対に見逃すわけにはいかなかった。
2013年、ボストンマラソンのレース時に発生した、爆弾テロ事件がテーマの作品。
僕は、この事件について、ニュースなどで情報を入手していたつもりだったのだけれど、まさか、こんなドラマがあったなんて。
「The CIRCLE」
「インターネット、ソーシャルメディアってやっぱり凄い、素晴らしい!」と思ったのは中盤まで。
それ以降、その企業のサービス内容がエスカレートしていくに伴い、逆に怖さを感じてくるようになってしまった。
ベルリンマラソンに向かう際の機内で鑑賞。
長距離フライトは、座骨神経痛の身にとって、映画館以上につらい環境だったが、この映画は、そのつらさを少し忘れさせてくれた。
ソーシャルメディアの未来(?)を描いたSFで、年初に見た「NERVE」と少し重なる。いずれにしても、僕の好きなテーマなので、かなり引き込まれてしまった。
「シンクロナイズドモンスター」
一応最後まで見ることはできたから、悪い映画ではないと思うのだけれど、後半は脚の痺れと闘いながら見た。
その痛みを忘れさせてくれるような、楽しい映画が見たかったんだけれどなぁ…。
ベルリンからの帰路、機内で鑑賞。
その時点では、日本未公開だったし、アン・ハサウェイは好きな女優のひとりだったので、期待しながら見始めたのだけれど…。
ロードショーで(お金を払って)見なくて良かった、というのが素直な気持ち。
コメディ映画ということらしいのだけれど、僕の感性とは全く合わず、笑えないばかりか、足が痺れてつらかったw
「僕のワンダフル・ライフ」
映画全編を貫くのは、飼い主たちと犬の間に通う愛だ。
サイドストーリー(?)になっている部分も含めて、犬好きにはたまらない、心打たれるシーンが満載。ユーモア要素もたっぷり含まれていて、劇場内は、何度も笑いの渦で包まれた。
前半は大いに笑い、後半は大いに泣いた。
映画館でこんなに泣くのは久しぶりというぐらいに、僕は、涙が止まらなかった。
映画のストーリーそのものに心打たれた、ということもあるけれど、それに加えて…。
これ以上書くと、また悲しい気持ちが甦ってきてしまいそうなので、次の映画に移ろう。
「猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)」
後半のクライマックスは息を呑む迫力で、140分の長尺映画なのに、終わってみると、あっという間だった。
今回も、ヒトと対峙するAPES側のボス、シーザーには心を打たれまくり。そして、シーザーと行動を共にする仲間たち、そして家族の物語にも感動だ。
面白かった「創世記」「新世紀」に続く、新・猿の惑星シリーズ三作目ということで、以前から楽しみにしていた。
期待に違わぬ傑作で、140分という長い時間だったのに、座骨神経痛の痛みも一瞬忘れさせてくれるほど、のめり込んで見た。
これでシリーズは一区切り。あんな結末になってしまったので、今後、このシリーズがどうなっていくのか、興味深い。
「バリー・シール アメリカをはめた男」
トム・クルーズのノリノリっぷりが最高で、僕はそれに酔いしれながら、最高の2時間を過ごすことができた。パイロット役としては適任中の適任だし、トム自身も、実に楽しく演じていることが、スクリーンを通じて伝わってくる。
一言で言えば、トム・クルーズの、トム・クルーズによる、トム・クルーズのための映画。
トム・クルーズ好きならば、きっと楽しめる映画だと思う。
僕的2017年ベストワン。
3作までは簡単に絞れた。
- 「ラ・ラ・ランド」
- 「マンチェスター・バイ・ザ・シー」
- 「メッセージ」
だ。
どれも、鑑賞後の余韻に酔いしれ、時間があれば、また是非見たい!と思わせてくれる映画だったからだ。
最初は、サントラなどでも楽しませてくれた、「ラ・ラ・ランド」にしようかと思ったが、今回、余韻の深さを反芻してみたら、こちらの方が上回っていた。
それは…。
栗山米菓 ばかうけ
をモチーフにした…
黒いばかうけw
じゃなく…。
「メッセージ」だ。
こう見えて(どう見えるんだ?)これは宇宙船。そして、映画を見ている間は、ばかうけ的なノリは全くなく、心にズンと染みこんでくる。
不朽の名作である原作(あなたの人生の物語)ともども、もう一度、いや、何度でも繰り返し味わいたくなる映画だ。
オススメ。
- 作者: テッド・チャン,公手成幸,浅倉久志,古沢嘉通,嶋田洋一
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