ロードショー期間に、何とか間に合って鑑賞。
予告編などでは、Googleアースが大きくフォーカスされていたので、最新のテクノロジーが鍵を握る映画なのかと思っていたが、その予想は、意外な方向に裏切られた。
もちろん、Googleアースは重要なポイントとなるのだけれど、個人的には、この映画の最大の見せ場は、そこじゃないと感じたのだ。
劇場ポスターでは、主人公の青年時代を演じるデヴ・パテルや、ニコール・キッドマンが目立つ。
しかし、この映画の真の主役は、ポスターのクレジットにも表記されていない、「無名の」子役、サニー・パワールだ。
もしも今年のアカデミー賞に、子役賞があったなら…。
そう思ってしまうほど、僕は、この子役の瞳、せつない演技に引き込まれた。
「ムーンライト」の子役も、かなり印象に残ったのだけれど、それが吹き飛んでしまうほど、この子役は最高だった。
前半30分。
ストーリーは、インドを舞台に展開される。主人公である「サルー」が、25年前に経験した、驚くべき出来事がこの映画の、大きな鍵となっている。
これ以上書くとネタバレになってしまうので控えるけれど、子供時代の「サルー」が、とにかく、何もかも素晴らしい。
最悪の状況に置かれた切なさを、全力で表現している。何という瞳の力。そして、何という強さ。
この強さがあったからこそ、「25年目のただいま」に繋がったのだろう、と実感させてくれる演技だ。
この映画が実話ベースだということに、あらためて衝撃。
エンドロールでは、「本物の」サルー、そして家族たちが、写真で登場する。
僕は、それを見ていたら胸が熱くなった。こんな凄い話が、本当にあったなんて…。
実に心温まる、いい映画だと思うし、子役の演技を見るだけでも価値はある。オススメ。
もちろん、パンフレットも購入。
実話ベースの映画の場合は、その裏話なども満載なので、買っておく価値があるし、実際にとても読み応えがあった。
子役のことばかり書いてしまったが、「オーストラリアでの」母役を演じるニコール・キッドマンの演技も素晴らしい。
流石はオスカー女優。感情を抑えた、しかし、名演で、子役時代と青年になったサルーを、どちらも見事に支えていた。
ルーニー・マーラは相変わらず綺麗だし、もちろん、デヴ・パテルも悪くない。
ただ、この映画の断然の主役は、間違いなく、サルーの子役、サニー・パワールだと思う。