いやぁ、面白かった。
映画の舞台は、現代のニューヨーク、スタテン島から始まる。
主役となるのは、内気なヒロインだ。思いを寄せる男性に、声をかけることさえできなかった女性が、とあるきっかけで、「NERVE」と呼ばれるインターネット上のゲームに参加した途端…。
というのが、この映画のメインストーリー。
「NERVE」は、インターネット、スマートフォンと連動したオンラインゲームで、《挑戦者》と《視聴者》に分かれて参加する。
挑戦者は、視聴者の人気を獲得すれば大きな報酬が待っている。
そのルールは3つだけ。
- 挑戦は「挑戦者」自身のスマホで撮影する。
- 失格の条件はふたつ。〈失敗〉か〈棄権〉
- 密告には制裁を。【NERVE/ナーヴ】は秘密に。
「挑戦」の内容は、視聴者のニーズをもとに決定されるのだけれど、その内容が凄い。
〈ディナーで見知らぬ男性にキスすること〉とか、〈建物の10Fの間に渡したハシゴを渡って、隣のビルに移動すること〉とか、もう、メチャクチャ。
設定としては実に単純だし、ゲームの設定も結構無理矢理で、ご都合主義的ゆえに、突っ込みどころも多数。
僕も、見ながら「そんなのあり得ないだろ…」と思ったりもした。
しかし。一方で、現実と紙一重のような思いも抱く。
今や、街中を見渡せば、誰も彼もが、スマートフォンを見ながら生活している。駅、電車内、カフェ、レストラン、観光スポット…などなど。
Twitterやfacebookなど、SNSの普及に伴って、その傾向は顕著になっている気がする。
スマホのカメラで、お気に入りのスポットや料理などを撮影し、SNSにアップ。「いいね!」をもらうと、それが嬉しくて、また…。
という感じで、さらに依存度が高まっていく。
僕も、以前は、なんでもかんでもSNSにアップしている時期があった。
最近は、ちょっと冷静になれた(ような気がする)けれど、それでも、餃子とランのことだけは、つい報告してしまう。
そして、アップした内容に、何らかのレスポンスがあれば、やっぱり嬉しい。
そんな心理があるから、この映画を見ていても、絵空事とは思えなかった。
前述の通り、「挑戦者」には、過酷な指令が待っているのだけれど、それをクリアすれば、大きな賞賛が得られる。
さらに、他の「挑戦者」たちとの競争に勝ち抜くことで、報酬まで得られるため、満足感も高い。
だから、その後、どんどん指令がエスカレートしても、ためらいや恐怖への感覚が麻痺し…。
スピード感を重視した脚本になっているため、設定には相当無理があり、このゲーム「そのもの」のような現実はあり得ないと思う。
しかし、これと似たようなことは、近々起こりえるのではなかろうか。
そんな思いに駆られる映画だ。
パンフレットも、もちろん購入。
オーソドックスな作りのパンフレットで、ちょっと残念。
映画の内容が、インターネットゲームを軸にした現実と虚構を描いていただけに、パンフレットにも、ゲーム的な要素があると、よかったんだけれどなぁ…。