もしもこんな書店があったなら、毎日でも通ってしまうだろう。
僕は、その書棚を見て、ひたすら感動に酔いしれた。
その名は、筒井書店。シンプルだけれど、それがいい。ここはまさに、「筒井康隆先生の書店」だからだ。
現在開催中の「筒井康隆展」は、基本的に場内撮影が禁止。
だから僕は、メモをとりまくって、その展示内容を記録にとどめた。
それについては、昨日の、このエントリーで書いた通り。
ただ、そんな場内でも、何ヶ所かだけ、写真撮影の許されている場所があった。
そのひとつが、この「筒井書店」なのである。
ハヤカワ・SF・シリーズ…銀背の数々。
今は入手困難となっている、稀少なSF本の数々に、僕は酔いしれた。
あぁ、筒井先生は、やっぱりSFを愛しておられるのだなぁ…。こういったSFを読み、そして、あれらの素晴らしい作品群が誕生したのだなぁ…と思えるような、圧巻の作品が並んでいた。
先生が、幼少の頃に読まれたのではないかと思う本なども展示されており、歴史の重みを感じる書店だった。
これらの本の全てには、筒井先生の蔵書であることを示す印がついている。
本に対する、筒井先生のこだわりと愛が感じられる、素晴らしい蔵書印だ。
これらの蔵書は、会期中に開催されるオークションに出品されることが決まっている。
オークションには、名だたるツツイストの方々が大集合されるため、その争奪戦は熾烈を極めることが必定だけれど、僕も、何冊かは入手したいと思った。
書棚の脇の壁には、筒井先生が若い頃に描かれたという油絵(!)が掲示されていた。
「原宿駅付近」という、この油絵もオークションに出品予定とのこと。
いやぁ、これは、もの凄い値段になるだろうなぁ…。
筒井書店の近くには、なんと、楽屋があった。
ここも撮影OKになっていたため、僕はもちろん撮らせていただいた。
楽屋の隅に、若い頃の筒井先生の写真と、「スタアの楽屋拝見!」という紹介ボードが設置されていたので、熟読。
筒井先生は、小説家としてだけでなく、役者としても非常に大きな存在だったのだということを、僕は、あらためて実感した。
この場所は、世田谷文学館内にもともとある和室を、筒井先生舞台の《楽屋》に模したもので、もちろん本物の楽屋ではない。
しかし、その雰囲気は十分に感じることができた。
和室内には、実際の楽屋で使われていたという暖簾が掲示されていたし…。
筒井康隆大一座が手がけた、さまざまな舞台のポスターが掲示されていた。
入口には、「ジーザス・クライスト・トリックスター」の舞台模型もあり、僕は思わず見惚れてしまった。
僕は、JCカード(ジーザス・クライストカード)も、関連本も持っているが、この舞台をリアルタイムで鑑賞できなかったことを思い出す。
あぁ、実際に、生でこの舞台を見たかったなぁ…。
この「筒井康隆展」では、先生の《役者としての凄さ》を感じることができる場所が、もうひとつ用意されていた。
それが…。
この、筒井康隆劇場だった。
場内では、蜷川幸雄演出、チェーホフ作の『かもめ』が上映されていた。
そう、他ならぬ筒井先生が、俳優として出演された作品だ。
上映時間は2時間35分。その全編を、まるまるたっぷりと鑑賞することができる。
この劇場とは別に、「筒井康隆展」会期中の土日祝には、関連イベントも開催。
世田谷文学館内の講義室で、「スタア」や「俗物図鑑」をなんと、無料で鑑賞することができるようだ。
いやぁ、今度訪問する時は、終日まるまる筒井先生の映像に浸りたいなぁ…と思った。
この「筒井康隆展」は、1度見ただけでは、その全てを掌握できると思えないし、前述のオークションなどを含め、会期中には沢山の関連イベントが用意されている。
僕は、まだ、これから何回も訪れるつもりだ。