僕は、競馬から足を洗って、10年以上が経つ。
かつての僕は、週末の殆どの時間を競馬予想(&馬券購入)で過ごしていた。
このブログも、20年前の開始直後は、競馬ネタばかり書いていたことを思い出す。
しかし…。
ランニングに嵌まって以来、競馬熱が嘘のように冷め、ここ10年は、1円たりとも馬券を買っていない。
人間、変われば変われるんだなぁと思う。
昨日は、競馬界最大のイベント「日本ダービー」が行われたが、僕は、どんな馬が出ているかさえも知らなかった。
だから僕が、その時間テレビを見ていたのは、《たまたま》に過ぎない。
どんな馬が勝ったとしても「ふーん」で終わっていた筈だった。
しかし、違った。
僕は、テレビの前で雄叫びを上げそうになってしまったのである。
うぉーっ、ノリが勝った!
かつて僕が一番応援していた騎手、横山典弘(ノリ)が、なんと、56歳にして日本ダービーを制したからだ。
史上最年長でのG1勝利。それも、日本ダービー。
これが驚かずにいられるものか。
勝ったダノンデサイルは、今年の1月に重賞レース(京成杯)を制しているので、決して実力不足の馬だったわけではない。
しかし、4月の皐月賞では、スタート直前に歩様が乱れた為、大事を取って出走取消。
今回は4ヶ月ぶりのレースとなった。だから、低評価だったのも頷ける。
ただ、陣営は密かな期待を抱いていたのだ。
レース後、このインタビューを見ていたら、僕は胸が熱くなった。
皐月賞でのスタート直前での出走回避は、無念だったろうけれど、あくまで「馬優先」で決断したこと。
そこで無理矢理出走させず、ダービーに向けて立て直したことが、この結果に繋がったのだ。
若手の頃から、馬に寄り添い、馬と一心同体で走り抜けてきた横山典弘騎手だからこその結果。
いやぁ、もう、流石というしかない。最高だ。
ここからは、そんなノリの思い出話を語ろう。
僕は、まだノリが見習い騎手だった頃からのファンで、デビュー4年目で騎乗したメジロライアンとのコンビで痺れまくった。
メジロライアンの引退セレモニーがあった2007年のエントリーでは、こんなことを書いている。
ノリとメジロライアンがコンビを組んだのは、今から18年もの昔になるけれど、鮮明に覚えている。
あの頃は、まだ減量騎手であり、単なる負けん気の強い「あんちゃん」に過ぎなかった横山典弘。
そして、その負けん気に応えるかのように、力強く怒濤の末脚を繰り出し続けたメジロライアン。弥生賞で、泥んこになりながら、馬群のど真ん中を突き抜けてきた脚を、僕は今でも忘れられない。
(中略)それでも僕は応援し続けた。
ノリの、そしてライアンの、ひたむきで不器用な競馬が本当に好きだったからだ。
ノリの競馬には「華」があって、とにかく魅せる騎乗をしてくれた。
ただ、若い頃は、G1レーズでの惜しい2着が多く、「2着王」と呼ばれていたこともあった。
日本ダービーも、3回の2着(メジロライアン・ゼンノロブロイ・ハーツクライ)があり、苦渋を味わされてきた。
だから。
2009年、ロジユニヴァースで念願の日本ダービーを制した時は、天にも昇る気持ちだった。
回顧はゆっくりあとで行うとして、今はただ、叫んでいたい。
騎手デビュー以来、まだアンちゃんだった時代から、追いかけ続け、応援し続けた横山典弘が、遂にダービーを制覇したのだ。これが叫ばずにいられようか。
ウイニングランの後、帽子をとって、馬上から観客に頭を下げたノリを見た時は、涙が出そうになった。競馬場にいたら、間違いなく泣いていた筈だ。
その数年後から、僕は競馬への興味が薄れ、馬券も買わなくなってしまったけれど、当時は、まだレース自体はよく見ていた。
だから、このレースで再び僕は興奮した。
ワンアンドオンリーで、見事、2回目のダービーを制した時だ。
当時、久しぶりに競馬ネタをブログにも書いた。
一番好きなジョッキーは、横山典弘(ノリ)。
(中略)レース後のウイニングランで、ノリは、馬上で帽子をとり、皇太子さまに深々と頭を下げた。
それをテレビで見ていたら、僕は感動で胸が熱くなった。
ターフから検量室に向かう際、橋口調教師と抱き合って喜びを分かち合うノリの姿を見て、再び、ジンときた。
この頃僕は、馬券を買う習慣がなくなっていたが、「このレースだけは単勝馬券を買っておけば良かったなぁ…」と思ったほどだ。
そして今回。
全く予想もしていなかった、3度目のダービー制覇。
ノリが中央競馬G1を制したのは、2017年のNHKマイルカップ以来、7年ぶり。
それが日本ダービーというのだから、驚愕だ。
やっぱり、華のある騎手は、どんなに歳を重ねても「魅せて」くれるんだなぁ…。
近年は、息子たち(横山和生、横山武史)が立派に育って大活躍。
2人ともG1ジョッキーになっており、ノリ自身の年齢を考えると、そろそろ(息子に任せて)引退を考えてもおかしくない頃。
しかし、ノリはまだまだ若かった。
息子たちがまだダービーを勝っていないというのに、56歳にして、3回目のダービーを制してしまうのだから、いやはや凄すぎるとしかいえない。
競馬界最強のお父さんだ。
あまりに嬉しかったので、久しぶりにスポーツ新聞まで買ってしまった。
【ダービー】イン強襲!ダノンデサイルと最年長56歳横山典騎手が制覇「まさか勝てるなんてね」 - 3歳馬特集 | 競馬 : 日刊スポーツ
あぁ、ノリの笑顔が眩しい。
こういうお茶目な発言も、ノリの魅力。
盟友、武豊とともに、まだまだ頑張って欲しい。