昨日は、有馬記念が開催された。
僕は、競馬から足を洗って5年以上になるので、1円も馬券は買わなかったし、リアルタイムでレースを見ることもできなかった。
しかし昨晩、録画していたレース映像と勝利ジョッキーインタビューを見たら、感動が止まらなくなってしまったので、その思いを書き残しておきたい。
レースは、1番人気の3歳馬エフフォーリアが、横山武史ジョッキーの見事な手綱さばきにより、見事な勝利を収めた。
エフフォーリアの強さについては申し分ない。
デビュー以降、7戦6勝。
皐月賞を制して挑んだ日本ダービーでは、福永シャフリヤールの強襲によりハナ差の2着に泣いたが、この秋は、古馬相手の天皇賞を快勝。
それも、3冠馬コントレイルを下してのものだから、価値が高い。コントレイルは、その後ジャパンカップを制したのだから、尚更だ。
そして今回は、グランプリレース3連勝中だったクロノジェネシスを力でねじ伏せた。
年度代表馬は当確だろう。
ただ僕は、横山武史ジョッキーが、勝利直後に《ガッツポーズをしなかったこと》に、「あれっ?」と思った。
横山武史ジョッキーは、父横山典弘(僕らのノリさん)ジョッキー譲りの明るさが売りで、これまでのG1制覇時は、全てガッツポーズをしてきた。
エフフォーリアで制した皐月賞、天皇賞。タイトルホルダーで逃げ切った菊花賞。
どのレースを見ても、派手なガッツポーズで、勝利の喜びを表現している。
今回は、1番人気であり、しかも初の有馬記念を堂々と制したのだから、その喜びは格別だった筈だ。
それなのに、なぜ、フィニッシュ後も淡々としているのだろう。
そんな僕の疑問は、勝利ジョッキーインタビューを見て氷解した。
「何とか勝ってくれという想いで、それに応えてくれた馬に感謝です」横山武史《エフフォーリア》【有馬記念2021勝利騎手インタビュー】 - YouTube
横山武史ジョッキーは、真剣な表情でインタビューに臨み、まずは深々と礼をした。
そして、こう語り始めた。
皆さんご存知の通り、僕の不甲斐ない騎乗によって騎乗停止になってしまい、有馬記念を勝てて嬉しいですが、心の底から喜べないのが残念です。
なるほど。そういうことだったのか。
僕はここでようやく思い出した。
横山武史ジョッキーは、有馬記念前日のレースで騎乗停止の制裁を受けていたのだ。
奇しくも、エフフォーリアの弟であるヴァンガーズハートに騎乗。
直線半ばで先頭に立ち、そのまま押し切ると思われたところ、ゴール板直前で内から強襲にあって2着に、
その時の騎乗ぶりに伴い、2日間の騎乗停止措置を受けていた。
ただ、騎乗停止となるのは、来年1月15日、16日ということで、僕は、「有馬は騎乗できるんだ。よかった。」と思い、そのニュースを見たことも忘れていた。
昨日の有馬記念を購入した人、テレビを見ていた人にとっては、そんなニュースさえも知らない、と言う人が多かっただろうと思う。
有馬記念は、年間で一番馬券が売れるレースと言われている。
普段競馬をやらない人でも、「有馬記念だけは買う」という人も結構見かけるからだ。
そういった人たちにとって、このインタビューは、ちょっと不思議に思えたのではなかろうか。
昨日のインタビューは、あくまで、《有馬記念》の《勝利ジョッキーインタビュー》だったのだから、謝罪する必要なんて全くない。
しかし、そこで真摯に謝れるのが、「横山武史」の人柄であり、素晴らしさだと思う。
その思いがある限り、まだまだ伸びる筈だし、未来もある。
ここ数十年間、競馬界の中心には常に「武豊」がいた。そんな「武豊」の良きライバルだったのは、他ならぬ「横山典弘」。
ノリの息子が、こんな素晴らしいジョッキーになるんてなぁ…。
今後の競馬界は、横山武史ジョッキーが牽引していくだろうと、僕は確信している。