僕は、洋画専門の映画ファンで、日本映画は殆ど見ない。
そんな僕が見た数少ない日本映画の中で、ベストだと思っているのは、「シン・ゴジラ」
僕の生涯を通じて、ロードショー開催中に、同じ日本映画を2回も見に行ったのは、この映画だけかもしれない。*1
それぐらい僕は、「シン・ゴジラ」に痺れたことを思い出す。
この映画からの流れで、「シン・ウルトラマン」も「シン・仮面ライダー」も一応見たが、「シン・ゴジラ」の断然ぶりが際立つだけだった。
あまりに「シン・ゴジラ」が凄かったので、過去のゴジラ作品も見ようかと思っていたのだけれど、結局全く見ることはなかった。(子供の頃にテレビで何作品か見た記憶はあるのだが、殆ど覚えていない。)
そんな「シン・ゴジラ」公開から7年。
爆発的に大ヒットした、画期的なゴジラ作品の後だから、次回作の企画は相当難航したのではないかと思う。
しかし、そんな中、満を持して登場したのが、『ゴジラ-1.0』だった。
ゴジラシリーズ30作品目。ゴジラ誕生以来70周年を迎えるに当たって作られた記念作品。
「ゴジラ」第1作の公開日と同じ、11月3日に上映開始というのも、気合が入っている。
東宝渾身の「ゴジラ」シリーズ最新作なのだ。
流石にこれは見逃せないと思った。
ということで…
先日の連休中に、物語の予備知識ゼロ(予告編も未鑑賞)の状態で見に行った。
その感想はひとこと。
大傑作。
これに尽きる。いやぁ、ゴジラが怖いのなんの。
この物語の舞台は戦後すぐの日本なのだけれど、ようやく復興し始めた日本の街を襲う、ゴジラが怖すぎる。
現代日本を舞台に描いた「シン・ゴジラ」では、最新の兵器でゴジラと戦ったが、戦後すぐの日本には、まともな武力などない。
しかも、米軍の協力も得られない設定となっており、そんな状況で、あんな巨大生物に勝てるわけないじゃないか!と思った。
しかし、物語は、あっと驚く展開を見せる。
この映画の大きなポイントは、ゴジラが主役の怪獣映画じゃないということ。
日本兵の生き残り(というか何と言うか…)である、敷島浩一の《主観》を中心に、全ては動くのだ。
ゴジラは、冒頭に登場して以降しばらく姿を消し、敷島浩一が「葛藤と戦いながら生きていく」物語が展開していく。
ヒロインである大石典子との出会いや、その連れ子との、奇妙な共同生活も始まる。
正直に言うと、このあたりはちょっと中だるみを感じた。
これは怪獣映画の筈なのに、なんでこんな人情ドラマみたいな展開になっているんだ?と思ったのだ。
しかし…。
ゴジラが再び登場するようになって、印象が変わる。
ネタバレになるから細かくは書かないが、ゴジラが銀座に登場してきた際に起きた事件には、「えっ、まさかここで…?」という、大きな衝撃を受けた。
その後、日本は、《民間》の叡智を尽くして、ゴジラと戦うことになる。
そして、その鍵を握るのは、やはり、主人公である敷島浩一。
「シン・ゴジラ」が、《政府》官僚たちの群像劇だったのとは、対照的な展開だ。
しかし、これがまた良かった。
僕が中だるみのように感じた「人間ドラマ的な部分」が、後半に生かされる展開となっており、僕は思わず泣きたくなってしまったほどだ。
ラストシーンは、一瞬、ご都合主義すぎのように思えたものの、ひと捻りされている。
エンドロール中、余韻が込み上げてくる佳作だ。
映画鑑賞後、僕はさまざまなネタばれ記事や紹介動画を見たが、その際、「山崎貴監督らしい作品」という評判が溢れていた。
前述の通り、僕は日本映画を殆ど見ないので、山崎貴監督が手がけた映画も、これまで全く見たことがなかった(汗)。
ただ、その作品名たちを知って、納得。
昭和の街並みを描いて大ヒットした「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズや、太平洋戦争ものである「永遠の0」の監督だったのか。
ならば、こういうゴジラになるのも納得だ。
パンフレットも購入。
スタッフたちによる秘蔵ネタが満載となっており、絶対に買っておいた方が良い。
映画のキャッチコピーは、「生きて、抗え。」
映画を見終わると、このキャッチコピーがずしんと心に響くんだよなぁ…。
ゴジラシリーズ29作品の情報や、ゴジラ造形の歴史なども綴じ込まれており、非常に興味深かった。
次回作のゴジラが登場するまでには、過去作品を復習しておこうと思う。
*1:「ボヘミアン・ラプソディ」は、13回も見に行っているというのにw