きっかけは、予告編だった。
最近、映画館へ行くたびに、この映画、「マスカレード・ナイト」の予告編が流れるので、僕は、気になって仕方がなくなってしまったのだ。
僕は普段、あまり日本映画を見ないし、木村拓哉にも長澤まさみにも、それほど興味はなかったが、何回も予告編を見ているうちに、洗脳(?)されてしまったのかもしれない。
一流ホテルで大晦日にカウントダウンパーティー。出演者は全員仮装。
そこに殺人予告が入り、キムタクがホテルマンに扮して潜入捜査。
いやぁ、面白そうな設定ではないか。
シリーズ第2作ということだし、前作の「マスカレード・ホテル」は、大ヒットした映画だというので、その続編ならば、期待が持てそうな気もした。
原作は東野圭吾で、僕の大好きな作家なのだけれど、この作品は未読。
そもそも、映画化で大ヒットした「マスカレード・ホテル」も未読だったため、これを機会に読んでみることにした。
ということで、家に積ん読となっていた本を先週読了。
いやぁ、これが実に面白かった。
都内で起きた連続殺人に、一流ホテルが巻き込まれる展開となったため、警視庁とホテルがタッグを組む。
ホテル内で、大々的な潜入捜査が行われることとなったが、犯人の目的もターゲットも不明だったため、その解決には困難を極めた。
しかし、物語の終盤に、あっと驚く展開が待っていて、さまざまな伏線が回収されていく。
実に爽快な作品で、流石は東野圭吾作品だなぁと思った。
都合のいいことに、この作品は、AmazonのPrime Videoで見ることができたので、原作読了に続けて、鑑賞。
映画では、ストーリーをシンプルにまとめている感があったが、大筋は原作を忠実に描いていた。
潜入捜査官役の新田浩介を演じるキムタクは、原作の設定よりもかなり年上なのだけれど、これが実に適役。
まさにキムタクでなければ成り立たない、と思ってしまったほど。
それもその筈…。
原作者の東野圭吾は、まさにキムタクをイメージして、主人公の新田浩介を描いたと言うことだったのだ。
ホテル側のヒロインで、フロントクラークの山岸尚美を演じる長澤まさみとのタッグも、実に決まっている。
さらに、登場人物たちも豪華絢爛で、とりわけ、犯人を演じる俳優の演技には唸らされてしまった。
原作も映画も最高だった「マスカレード・ホテル」。
これでますます僕は、続編の「マスカレード・ナイト」に興味を持った。
絶対に見に行かなければ!…と思った。
ただ、見に行くならば、やっぱり原作を読んでおいた方がいい。
と、思って原作を入手。
合わせて、外伝とも言える「マスカレード・イブ」もゲットした。
マスカレードシリーズ3作品の揃い踏みだ。
シリーズ第2作の「マスカレード・イブ」は、新田浩介と山岸尚美が、それぞれ新人だった頃の話。
2人が出会う前の、「マスカレード・ホテル」以前を描いた短編集である。
その時代、新田浩介は単なる警察官であり、ホテルとは何の関係もないのだが、仮面や覆面をキーワードに、《マスカレード》シリーズとして無理矢理組み込んだ感じがする。
ただ、新田や山岸にも、そんな時代があったんだなぁ…と思いながら読めるので、「マスカレード・ホテル」を楽しんだ人ならば、満足できる気はする。
3冊すべて読み終わった今の印象を言うと…。
「マスカレード・ホテル」→「マスカレード・ナイト」は、順番に読んだ方がいいけれど、その間に、「マスカレード・イブ」を読まなくても、何の問題もない。
で…。
肝心の「マスカレード・ナイト」原作。
映画公開前に読んでおかなければ…と思い、先週末、一気に読了した。
500ページ超の大長編なのだけれど、流石は東野圭吾だけあって、その長さを感じさせない。
一流ホテルで大晦日にカウントダウンパーティー。出演者は全員仮装。
そこに殺人予告が入り、キムタクがホテルマンに扮して潜入捜査。
…という設定は、予告編で見た通りだし、「マスカレード・ホテル」の映画も見ているので、そのイメージは、さらに鮮明になっている。
主人公の新田は、キムタクとしか思えず、映画でキムタクが話しているシーンが、目に浮かぶようだった。
物語の設定は、まさに映像向きで、最初から映画化を前提にして書かれてのではないかと思うほど。
これは絶対に面白い映画になる!と、思いながら読み進めた。
しかし…。
個人的には、かなりイマイチだった。
ホテルには、前作「マスカレード・ホテル」以上に、癖のある宿泊者たちが登場し、物語は複雑に絡まっていくのだが、その収束方法が不満。
いやいや、それはないだろ!というぐらい無理がある、と僕には思えた。
前作同様、最後に伏線は回収されるのだけれど、かなり唐突な感もあり、綺麗な回収方法ではない。
僕は、手練れの東野圭吾が、映画化を前提にして、無理矢理作ったような作品に思えてしまった。
いったいこの結末を、映画でどうやって描くのか?という興味はわくものの、ロードショー代金を払ってまで見ようという気は、ちょっと薄れてしまった。
もちろん、原作は原作であり、映画は映画なので、映画ならではの脚色で、原作の不満がカバーされているかもしれない。
だから、ちょっと迷ってはいるのだけれど…。