都営三田線「千石」駅を出て、不忍通りを護国寺方面へ。
500mほど歩くと、その中華料理店「元園」はある。
しかし、いわゆる町中華の店をイメージしながら歩いていると、見逃してしまうかもしれない。
その外観がカフェ風で、おしゃれすぎるからだ。
店頭に書かれている店名が、漢字の《元園》ではなく、《GENEN》表記となっていることもあり、ますますカフェ風。
しかし、この店は、れっきとした中華料理店なのである。
店頭に掲げられたランチメニューの一覧が、それを証明している。
僕の目当ては、もちろん、Aの「ギョーザセット」だ。
「当店自慢」と書かれており、期待せずにはいられない。
ゆったりとして綺麗な店内。
店の中には、ジャズが流れている。僕はジャズが大好きなので、それだけで痺れてしまった。
いやぁ、なんてハイソ(死語か?)な店なんだろう。
時節柄、クリスマスツリーなども飾られていた。この店の雰囲気にはぴったりだ。
席につくと、お茶のポッドと温かいおしぼりが運ばれてきた。
紙のおしぼりではなく、こういったおしぼりが出てくるだけで、僕は嬉しくなってしまう。
テーブル上のランチメニューを眺めてみる。
ランチは4種類で、税込1,000円均一。
ランチにしては決して安くはない価格だが、サラダとデザートがつくし、ご飯やスープはおかわり無料。
店の雰囲気もあわせて考えると、結構お得なんじゃないかと思う。
もちろん、僕の注文は決まっている。Aのギョーザ(五個)セットだ。
注文後すぐ、サラダが運ばれてきた。
ベジファースト。良いじゃないか。
ポットから温かいウーロン茶を注ぎ、サラダとともに、味わってみる。
いやぁ、なんとも心が落ち着く。たまには、ビールじゃなくてウーロン茶も悪くない。
焼餃子がやってきた!
登場の瞬間、僕はちょっと感動してしまった。
店内は、僕を含めて年配のひとり客ばかりで、誰も言葉を発していなかったから、熱々のパチパチ音が、鉄板上で響き渡る。
その音と、店内に流れるジャズの調べが、見事に融和していたからだ。
なんとも優雅な、そして至福のコラボレーション。
いやはやたまらない。
ギョーザセット全体。
先に食べ終わっていたキャベツサラダを含め、きっちりとまとまっている。完璧なセットだ。
餃子をひとつ裏返してみた。こんがりとした焼き目もいい。
肉の旨みがしっかりと感じられる、ジューシーで美味しい餃子だ。
単体で食べると、ちょっとだけ油っぽいような気がしたが、酢醤油で緩和し、白いご飯にバウンドさせれば大丈夫。
スープは、オーソドックスな中華スープといった感。
ご飯も、このスープも、お代わり自由というのが嬉しい。
欲を言えば、サラダもおかわり自由だと文句なしだったのだけれど…贅沢は言うまい。
デザートの杏仁豆腐は、口の中に入れると、一瞬でとろけた。
僕史上、最高に柔らかい杏仁豆腐だった。個人的には、もう少しもっちりして、ミルク感のあるものが好みだけれど、これはこれで美味しかった。
この店は、きっと何でも美味しいに違いない。
今度は、夜に訪れて、いろんなメニューを食べてみたいなぁと思った。