青い暖簾、青い看板、すりガラス。いかにも《昭和の大衆食堂》といった趣だ。
その名は、「天平食堂」。
暖簾にも、その上の青い看板には、《食堂》としか書かれておらず、大衆食堂オーラがもの凄い。
ただ、この店は、いわゆる普通の大衆食堂とは一味違う。
「うなぎ蒲焼」の幟(のぼり)が立っているからである。
《味自慢 中華そば》看板と《うなぎ蒲焼》幟の共存は、なかなか見ない情景だ。
ショウウインドウには、料理の見本はなく、手書きでメニューが並んでいる。
《うな重 上》3,000円という価格設定は、昨今の鰻価格高騰を考えれば、安いと言えるのかもしれないが、店の外見を考えると、かなり異色。それだけ、自慢の料理ということなのだろう。
もちろん、鰻だけじゃなく、一品料理、定食、中華。なんでもありだ。
大きな期待を持って入店。
僕は、週末の早い時間に入店したためか、先客は1人だけ。
店の奥には、座敷席があって、結構広い。
僕はテーブルの片隅で、メニューを眺める。
《ご飯もの》《麺類》《一品料理》《定食》と、別格の《うなぎ》。
リーズナブルなつまみ類も豊富で、さすがは大衆食堂といった感じだ。
メニューは、店内各所にも掲示されている。
日替わりメニューを含んだマジックボード。しかし、ここでもウナギ推し。
鹿児島産というPRポスターまで掲示されている。
丼類、麺類のメニューが並ぶ場所でも、鰻関係は別格扱い。写真を見ると、ますます鰻が食べたくなる。
店の奥にあるマジックボードには、前述のボードと異なる料理が並んでいたが、「うな重」だけはここにも掲載。
いやはや本当に、この店はウナギ推しなのだなぁと思った。
しかし…。
僕はそれよりも、左端に書かれている《ギョーザ》のほうが気になった。
僕は鰻が大好きだし、うなぎランナーになったこともあるが、基本的には餃子ランナーだからだ。
うな重(上)は3,000円だが、《ギョーザ》なら300円。うな重1人前の価格で、餃子なら10皿も食べられる(!)というのも魅力。
だから僕は、もちろん餃子を注文したが、焼きあがる前に、ビールのアテが必要。
ということで…。
こんな感じに。
ほうれん草のおひたし(200円)と、ニラ玉(250円)に、サービスの枝豆。
ニラ玉は、もう少し卵が欲しかったところだけれど、250円ならば文句はない。
塩味がガツンと効いており、ビールが進む進む。
そして…。
主役が登場!
堂々と《羽根》と纏って出てきたのには驚いた。
町中華の餃子でも、羽根つきのものは、それほど多くない。ましてやここは大衆食堂。そう考えると異色だ。
僕は、餃子の《羽根》にこだわりをもっておらず、「別になくてもいい」派だが、ビジュアル的には、やっぱり楽しい。
盟友であるビールとの共演。
餃子とビールって、どうしてこんなに合うんだろう。こげ茶色同士だからだろうかw
サイズ的にはそれほど大きな餃子ではないけれど、なんたって300円。うな重価格の1/10。そう考えれば、納得がいく。
そして、その味は…。
旨いじゃないか!
野菜のザクザク感も、肉の旨味もしっかり感じされて、口内に幸せがあふれる。
下味もしっかりついているから…。
シンプルな酢胡椒が合う。
ということで、1人前はあっという間に完食してしまった。僕は、2人前まとめて注文しておけばよかったなぁと、ちょっと後悔してしまった。
気がつくと、店内は、ほぼ満員になっていた。
常連っぽい人ばかりで、中には家族連れもいた。それだけ、地元で愛されている店ということなのだろう。
ニラ玉も餃子も、安くて美味しかったので、この店イチ押しの鰻は、かなり期待できる気がする。
今度この店に来るときは、うな重(上)を食べてみたいなぁ…と思った。
「うな重(上)」と「餃子10皿」の、どちらかを選べと言われたら、餃子を選んでしまうかもしれないけどw