今回のAppleイベントでは、iPadシリーズとともに、Apple Watchも大きな目玉となっていた。
2つの新製品が発表されたからだ。
血中酸素濃度が測定できるようになった、Apple Watchシリーズ6。
最新の基本機能に絞って、リーズナブルな価格で登場したApple Watch SE。
さらに、Apple Watch 「入門編」というべきSeries 3も健在なので、多彩なニーズにあったラインナップが揃ったと言えるだろう。
AppleのWebサイトでは、これら3種類のApple Watchを比較検討することができる。
比較表の詳細をつらつらと眺めてみると、やはり、Series 6とSeries 3の差は半端じゃないということがわかる。
それはそうだろう。
なにしろ3世代も違うのだし、その分値段も大きく違う(Series 6の価格は、Series 3の倍以上)のだから、進化していて当然と言える。
しかし、3世代を経ても、一向に進化していない部分がある。
バッテリー駆動時間だ。
Apple Watchのバッテリー駆動時間は、2015年の初代モデルから、ずっと《公称18時間》のまま。
今回の発表において、僕は、今度こそバッテリー容量の改善が行われるものかと信じていたが、それが実現されることはなかった。
Apple Watchのバッテリーについては、AppleのWebサイトに同社の見解が発表されている。
Apple Watch Series 6 発表に伴う、最新の見解だ。
僕は、この文章を読んでいたら、ちょっとめまいを感じてしまった。
優れた能力を持っているApple Watchは、一日中身につけていたくなる腕時計です。
この部分はとてもよくわかる。
Apple Watchは、確かに、優れた能力を持っていて、魅力的だ。
だから一日中しっかり使えるバッテリーを搭載しました。
それはそうだろう。
なにしろ腕時計なのだから、一日中しっかり使えるバッテリーを搭載してもらわなきゃ困る。
…と、ここまでは、納得の文章なのだけれど、次に続く文章で愕然とする。
一晩の充電で18時間持続するバッテリーです。
ちょっと待ってくれ。
「一晩の充電で18時間持続する」ということは、逆に考えれば、「一晩充電しなければ、次の日は使えなくなってしまう」ということ。
そんなの腕時計じゃない!…と、思うのは僕だけなのだろうか。
まして、最新のApple Watchは、睡眠トラッキングまで搭載するようになっているのだから、もしもそれを計測するのであれば、寝ている間に充電することもできない。
となると、ますます使いにくいように感じる。
もちろん、これは過酷なテストに基づいたものだから、実際の運用上は、一晩充電を忘れても、次の日ぐらいは耐えられるのだろうと思う。
Web上では、「工夫をすれば数日持った」という報告も、多数上がっている。
ただ…。
僕はもっと気軽に使いたい。
機能を制限すれば、バッテリーの駆動時間はある程度伸ばすことができるのだろうが、それでは、Apple Watchの持つ高い性能を思いっきり堪能することができなくなる。
特に、今回のSeries 6では、健康面にフォーカスした点が強化ポイントなのだから、それを生かすためには、常時ストレスなく、昼も夜も睡眠中も、できる限り継続して使いたい。
そう考えると、バッテリー駆動時間の18時間というのは、流石に無理があるんじゃないかと思う。
しかし…そんな僕の考えは、少数派なのかもしれない。
Apple社の見解を読む限り、同社として、Apple Watchのバッテリー駆動時間は、18時間で必要十分だと思っているフシがあり、改善する気などさらさらない、ようにも思えるからだ。
まぁ、初代以降ずっと18時間のままなのに、爆発的に売れ続けているから、Appleにとっては、バッテリー問題などは存在せず、ひたすら機能アップを求めているのだろう。
そして、ユーザー側も、こまめな充電や工夫した使い方のできる人が多いのだろう。
となると、Apple Watchは、今後もずっとバッテリー駆動「18時間」が続いていく可能性がある。
ズボラな僕は、やっぱりいつまで経っても、Apple Watchを購入できないままになりそうだ。
あぁ。