扉を開けると、店内は満員だった。
店内にカウンターはなく、6人掛けのテーブル1つと4人掛けのテーブルが3つ。
僕が店に入った瞬間は、全てのテーブル席が埋まっていた。
この店を目指して祐天寺まで遠征してきたのに、ついてない…と思ったが、問題はすぐに解決した。
店内にいたのは、全て常連の人たちで、皆、ゆったりとスペースを取って座っていた。
そのうち2人が、他のテーブルへ集結し、僕のために4人掛けテーブルを1つ空けてくれたのである。
常連の人たちは、手慣れた感じでだったため、あぁ、ここはいつもこんな感じなんだろうなぁと思った。
店内はこんな感じ。
ダイヤル式の黒電話があって、昭和ムードを醸し出している。
中央に鎮座する招き猫。
「三久」のお札つき。となると、店名の《三久》というのは、店主の名字ということなのかもしれない。
僕は、Thank youの語呂合わせなのかと思っていたが、どうやらそうではないようだ。(真相は不明^^;)
壁のメニューを眺めていると、その眼前に煙が流れてきた。常連の人たちが吸っていた煙草の煙だ。
「勘弁して欲しいなぁ…。」と思ったが、常連で賑わう町中華店では、禁煙にするわけにもいかないのだろう。仕方ない。
僕は、席を譲ってもらった立場でもあり、じっと我慢することにした。
何はともあれビールと、そして、ザーサイを注文。
それらはすぐにやってきた。
ビールには、酢の物も一緒についてきたので、とりあえずのアテとしては十分。
僕は、店員さんに《メインディッシュ》を注文した後、ゆったりと喉を潤しながら過ごした。
そして。
焼餃子がやってきた!
こんがりとした焼き色が美しい。その見た目だけでも、カリカリ感が伝わってくる感じだ。僕は思わず見惚れてしまった。
ビールとの競演。
このコンビは、いつでも僕の心を癒やしてくれる。餃ビーさえあえば、僕は生きていける。そんなことを感じる、至福の瞬間だ。
新しい餃子との出会いでは、とりわけドキドキする。見た目的には申し分ないが、果たしてその味は。
よっしゃ!旨い!
サイズは小ぶりだけれど、具はぷっくりと詰まっていて、食べ応えがある。
肉の旨味を感じる具で、ほのかに肉汁も感じる。
そして、やっぱり皮が旨い。カリカリ感ともちもち感のバランスも絶妙で、レベルの高い餃子だと思った。
僕が、そんな餃ビーの幸せに酔いしれていると、この日の、もうひとつの主役がやってきた。
エビチャーハンだ!
これでもかというほど、海老が山盛り。数えてみたら、15個も乗っていた。海老好きにはたまらない。
実を言うと僕は、このビジュアルをSNSで見て、これに会いたくて、祐天寺までやってきたのである。
果たしてそれは、僕の期待を裏切らなかった。
全体的な具はシンプルなものだったが、それが逆に、主役の海老を十分に引き立てている。
どちらかと云えばしっとり系のチャーハンであるが、ご飯の旨味もしっかりと感じる。
見た目よりもあっさりとしているので、もしも餃子を注文していなければ、大盛りでも良かったかと思うほど。
餃ビーは最高だったし、海老たっぷり炒飯も文句なし。
あぁ、祐天寺まで遠征してきた甲斐があった。
僕は、無性にエビが食べたくなる時があるので、その時は、またここに来よう、と思った。