前回までのあらすじw
その日僕は、4年ぶりに大鳥居の「龍門」を訪れた。東京ベスト級だと思っている焼餃子で、餃ビーをするためだ。
僕は、焼餃子大盛(9個)とビールを注文したが、店員から、「現在、昼間はビールの提供をしていない」と言われたため、餃子だけを食べて店を出た。
僕は、餃ビーリベンジをするべく、糀谷方面まで歩いて、「朋友」を発見。
店の入口に《ご飯は終了しました》という貼り紙が貼ってあったが、餃子もビールも注文可能だったため、個人的には問題なかった。入店後、ほどなく出てきたビールと焼餃子で、僕は、待望の餃ビーを満喫。お腹も十分に膨れていた。
「朋友」に入店し、カウンターに座ったあと、僕は、少しだけメニューを眺めていた。
この店では、餃子とビールだけを注文する予定だったため、メニューなど見る必要はなかったのだけれど、他に、どんな料理があるのか気になったからだ。
そんな僕の姿を見て、おかみさんは、こんな声をかけてくれた。
「ご飯、半人前ぐらいなら、何とかなるかもしれませんけど…。」
どうやら僕が、ご飯に未練があると思われてしまったようだ。
僕は、「いや、大丈夫です。」と言うつもりだった。
龍門で、大盛り9個の餃子を食べているし、それに焼餃子とビールが加われば、もう、僕のお腹に余力はない。
しかし…。
僕の口をついて出たのは、なぜか、違う言葉だった。
店内に掲示してあったハーフサイズのメニューが、僕の背中を押し、こんな言葉を呟かせてしまったのである。
「ご飯物と言うのは、チャーハンでも大丈夫ですか?」
すると、おかみさんは、厨房の主人に状況を確認した後…
「はい、大丈夫です。…なんとか、1人前でもぎりぎり作れそうです。」
と、言った。
僕は、その回答にちょっと焦る。いやいやいや、1人前は流石に無理。
断る代わりに、僕は、別の質問を投げかけてみた。
「半チャーハンというメニューは、五目にもできますか?」
この店の看板メニューは、そのビジュアルが美しい五目炒飯。どうせ追加で注文するならば、五目を食べてみたかった。
ハーフサイズだと、フルサイズと同じような形状にはならないだろうから、五目のハーフ化は不可という可能性もある。
しかし、それならそれで注文を諦めればいい。
すると、おかみさんはこう言った。
「五目炒飯でも、ハーフにできます。」
ならば、もう、断る理由がない。
ハーフサイズだと、各種レビューで見かけたような、美しいビジュアルは望めないだろうが、それもまた一つのネタになっていいだろうと思った。
席に座ってほどなくすると、すぐにビールが運ばれ、その後、餃子が到着。
僕が、餃子を半分ぐらい平らげたところで、《それ》は、僕の目の前にやってきた。
五目炒飯だ!
まるで玉子の帽子をかぶったような、独創的で美しいビジュアル。
そう。
これがこの店の名物料理なのだ。その美しさは、ハーフサイズであっても損なわれることはなかった。
しかも、これだけボリュームがあって、ハーフサイズだというのが衝撃。
かまぼこ、椎茸、チャーシュー、葱、グリーンピース。
それらが、絶妙のバランスで卵とじの中に収まり、シンプルな味付けのチャーハン上部に、すっぽりとかぶさっている。
いやはやこれはたまらない。
一緒にスープもついてきた。
これで400円だから、コスパ的にも申し分ないメニューだ。
僕は、2軒合計で15個の餃子を食べ、ビールを飲んでいたので、お腹はかなり満たされていたが、こんな素晴らしい料理を残せる筈がない。
ということで、もちろん完食。
今度訪問するときは、五目炒飯に注文を絞って、1人前を食べてみたいと思う。