「全国同時ノーマスクピクニックデー」なるものが開催されるというニュースを知った時、僕は、目を疑った。
何かの間違いではないかと思った。
しかし、間違いではなかった。今でも、そのイベントを知らせるWebページは存在していたからだ。
曰く…。
2021年5月1日(土)・2日(日)に、全国各地でノーマスクピクニックを楽しむイベントです。老若男女、どこでもどなたでもご参加頂けます!
日本全国1つ空の下、同じ想いの人たちが繋がり合い、新鮮な空気を吸って、素顔で笑い合い、楽しく遊びませんか?
あり得ない!
いったいなんなんだ、このイベントは。
頭がおかしいとしか思えない。これはもはやテロ行為だ。
僕は、マスクが万能だとは思っていないし、屋外の公園であれば、「三密」にはならないだろうから、屋内よりは安全だとは思っている。
しかし、それはあくまで比較の問題。
ウィルス感染が再拡大に向かいつつある今、なぜ、わざわざ、マスクを外して集まることを煽動するのか。
このWebサイトは、作成者が不明で、どう見ても怪しい。
単なる愉快犯の書き捨てネタだろうから、普通ならば誰もがスルーしただろう。
しかし、それが大きなニュースネタになったのは、ノーマスクピクニックのイベント会場として、《実在》の公園が集合場所として指定されたこと。
今はもう削除されていて確認できないが、集合場所として、都立砧公園や大阪城公園などが掲載されていた。
もちろん、公園側は「全国同時ノーマスクピクニック」などというイベントを認めていない。
例えば砧公園のWebサイトには、このようなお知らせが掲載されている。
しかし、今回、イベント場所に指定されてしまったことで、公園の事務局には、クレームや問い合わせが殺到しているようだ。
僕は、関係者の方々が気の毒でならない。
Twitterでは、「#全国同時ノーマスクピクニックデー」というハッシュタグをつけたツイートが、大量に拡散されている。
その大部分は、企画への非難であるけれど、しかし僕は、大いに恐怖を感じてしまった。
とにかく話題にさせること。それが、この愉快犯の《思う壺》だと思うからだ。
たとえマイナスの論評であっても、それが大量に拡散されてしまえば、そのぶん、非常識な人たちの目に留まる確率も高まる。
「屋外だから安全だ!」「マスクなんて不要なんだよ!」と考える人たちが、この機に乗じて集まってくる可能性があるから、本当に怖い。
今回の騒動が生じたことで、僕は、別の恐怖も感じている。
新型コロナウィルスに関しては、未だ終息の見通しがたっていない。
現状、政府がとっている対策が効果的とも言えず、賛否両論がある。
そんな不安定な状況に乗じて、今後も、さまざまな「愉快犯」「お騒がせ野郎」が出てくる悪夢だ。
「全国同時ノーマスクピクニック」の思いつきやWebサイトは、非常に陳腐なものだが、それでも大きな騒動になった。
だから今後は、もっと凝った形で、世間を混乱させるような輩が出てくる可能性があり、僕は、それを大いに心配している。
杞憂に終わればいいのだけれど…。