今年の北海道マラソン。
僕は這々の体で何とか完走し、疲労困憊になりながら、いつもの青空宴会場に到着した。
今年の青空宴会では、なんと餃子を用意していただいており、僕のパワーは一気に回復した。
僕にとっての餃子は、ポパイのほうれん草と同様の効果があるからだ。(若い人にはわからないだろうなぁ…)
僕はもともと胃腸が弱く、さらに、フルマラソン後ということもあって、胃があまり食べ物を受けつけなかった。
しかし、餃子とビールは別腹なので大丈夫w
僕は、青空宴会を大いに堪能し、宵の口に解散。
大通公園からすぐ近くのホテルに帰るなり、倒れ込んでしまった。
あまりに気持ちよく飲み食いしたので、お腹が膨らんでいたからだ。
僕の身体は、「あとはぐっすり眠って疲れをとるだけ」というような状態になっていたのだけれど、この日はそれで終われない事情があった。
今回の札幌滞在は2泊3日で組んでいたが、3日目は昼に帰京してしまうため、札幌の「夜」はこの日が最後。
ということで、どうしても行っておきたい店があったのである。
店の場所は、札幌市宮の沢。
北海道コンサドーレ札幌の練習場である《宮の沢白い恋人サッカー場》のすぐ近くにあった。
「大通」駅からは、札幌地下鉄東西線で1本。同線の終点駅だ。
ホテルからは、駅までの道程も含めて20分程度で行けるということで、僕はもともと訪店計画を立てており、日曜夜の営業有無も電話で確認済みだった。
いくらお腹がいっぱいだろうが、これは行くしかないではないか。
ということで僕は…。
ささやかな腹ごなしに、ホテル周りをぐるぐる歩いた後、宮の沢に向かった。
僕が目指した店の名は、「餃子と中華 つつみ人」。
なんとも味わい深い店名だ。
僕はその店名にも惹かれて、この日の訪店を計画したのである。
宮の沢の駅を出て数分歩くと…その店はすぐに見つかった。
店頭に掲げられていた幟(のぼり)を見て、僕は思わず唸ってしまった。
これは、僕がレースでたまに装着している《ミニ幟》デザインと同じものだったからだ。
そう。これだ。
2023年の東京マラソンでは、このミニ幟をランシャツに装着して走ったことを思い出す。
今回は残念ながら持参し忘れてしまったが、僕にとっては愛着の深いデザインなので、思わず唸ってしまったという訳だ。
今回、僕は特に予約をしないで訪れた為、入店できるか若干不安はあったのだけれど、ちょうどカウンター席が空いているようだったので、ホッとした。
いざ、入店。
僕は、カウンターの片隅に座って、メニューを眺めた。
僕がこの店で食べたかった料理は決まっており、それはたったひとつだったので…。
さまざまな定食類等は完全スルー。
お得なちょい飲みセットというのもあったが、これも見送り。
青空宴会の飽食で、とにかく胃が苦しかったので、お得感は必要ないのだ。
メニューをめくると、目的の餃子が載っているページを発見。
「つつみ人」という店名だけに、この店には沢山の種類の餃子があった。
数ある餃子の中で、僕が求めていたのは、これ。
赤と黒の配色がなんとも異色な「フクモリ餃子」だ。
この特異な配色は、《インスタ映え》みたいなものを目指しているわけではなく、れっきとした理由がある。
この宮の沢に練習場を置くサッカーJリーグチーム、北海道コンサドーレ札幌に因んでいるのだ。
もともとのチームカラーであり、現在は、ユニフォームがまさにこの配色となっている。
北海道マラソンでも、このレプリカユニフォームで走っている人を数多く見かけた。
そんな記念の餃子だから、僕はこれをどうしても食べたかったのである。
ということで、やおら勢い込んで注文すると、店の女将さんから、衝撃の回答が返ってきた。
なんと…。
「フクモリ餃子は、ランチ分で売り切れました」とのことorz
僕は、「そりゃないよ」と大いに消沈。
この餃子を食べたいから、胃がもたれていてもここまで来たのに…。
餃子の種類は、他にも沢山あったので、普段の僕ならば、他の餃子を注文すればいいだけの話だった。
しかしこの日僕は、《フクモリ餃子》の一点張りで訪れており、お腹いっぱいの状態でもあったため、大いに悩んだ。
しかし、それがなかったからといって店を出るのも大人げないと思い、メニューの餃子群のなかから、一番胃への負担が軽そうな「葱ポン餃子」をチョイス。
それも、半人前の3個にした。
飲み物も胃に入らないんだよなぁ…などと思いつつ、ドリンクメニューを眺めて悩んでいると…。
厨房にいたマスターが出てきて、僕にこう告げた。
曰く「コンサドーレ札幌が大好きでいらっしゃるんですか?」とのこと。
僕は、サッカーに関しては全く無知で、北海道に来るまでは、そんなチームがJリーグにあったことも知らなかったのだけれど、流石にそれは言いにくかったので、「いや、そういうわけでもないのですが…」と言葉を濁した。
するとマスターは、「フクモリ選手の大ファンとか?」とさらに質問をなげかけてきた。
僕は、その選手名も知らなかったため(汗)さらに困ったのだが、苦し紛れにこう答えた。
「いや…今日北海道マラソンに出てまして、赤と黒のユニフォームを結構見かけて…僕は餃子が大好きで…その色の餃子が食べたくて…」
しどろもどろの回答になってしまったが、結果的にはそれが正解だったようだ。
マスターは笑顔になって、「おぉ、今日走っていたんですか。このユニフォーム、沢山見かけたでしょう。それはそれは。」と仰り、「じゃぁ、フクモリ餃子作りましょう。」と言ってくださったからである。
僕は大感激し、「ありがとうございます!」と言った。
続けてマスターは、「それじゃぁ、先ほどの葱ポン餃子と合わせてお出しすれば良いですか」と言ったので、慌てて葱ポン餃子の取り消しをお願いしたけれどw
折角特別にフクモリ餃子を作ってくれるというのであれば、飲み物も注文しなければ申し訳ない。
ということで、僕は飲み物メニューから、ノンアルビールを選択。
あとで考えれば、炭酸がお腹に貯まるノンアルビールよりもウーロン茶の方が(この日は)正しい選択だったのだけれど、僕は、フクモリ餃子を食べられる嬉しさで、判断力を失っていた。
ノンアルなのに、おまけのザーサイ(お通しではない)までつけてくれた。
いくらお腹が苦しかろうと、これは食べないわけにはいかない。
フクモリ餃子が出てくるまでの間、店内をつらつら眺めていると、テーブル席の周りはサインだらけだった。
大量のサインが飾られている店は珍しくないが、この店の大きな特徴は、北海道コンサドーレ札幌の選手サインだらけだったこと。
フクモリ餃子は、同球団の福森晃斗選手*1の公認餃子であり、もちろん福森選手のサインもあった。(この写真を撮った時点では、全くわかっていなかったけれど、あとで画像検索して確認。)
そうこうしているうちに…。
フクモリ餃子がやってきた!
黒いんだか焦げているんだかよくわからないビジュアルが衝撃的(^^;
あまり下味はついていない感じだったので、僕は、普通に酢醤油をつけて食べた。
赤餃子は、牛肉とセロリで実に肉肉しいボリューム。
黒餃子は、ジャガイモとチーズということで、なんとなく洋風。
ポテトピザ的な感覚で、これもまたお腹に貯まる。
赤も黒も、どちらも、皮以外は北海道地産の材料を使っているという、こだわりの餃子だ。
どちらも特徴があって美味しかったのだけれど、とにかくお腹が苦しくて苦しくて…。
飲み物で流し込もうにも、ノンアルビールは炭酸が効いているから、それもキツかった。
しかし、特別に作っていただいた以上、残すわけにはいかなかったし、持ち帰りも言い出しにくかった。
何しろ僕は、この店でフクモリ餃子しか注文していないのだから、「美味しくなかったと思われるんじゃないか」と思ったからだ。
ということで、そのボリュームに苦しみながらも何とか完食。
マスターには、「とっても美味しかったです!ありがとうございました!」と告げて、店を出た。
店の雰囲気も良かったし、他にも気になる餃子はあったので、今度また行く機会があれば、お腹を空かせて訪れたい。
*1:2025年1月31日まで横浜FCにレンタル移籍中。