餃子とビールは、切っても切り離せない無敵のコンビだ。
ビールには、唐揚や枝豆などといった、かりそめのパートナーも存在するが、史上最強の相棒は餃子に決まっている。異論は認めない。
すなわち僕は、餃子ランナーであるだけでなく、餃ビーランナーであるとも言える。
それぐらい、僕にとってビールの存在は大きいのだ。
だから。
8年ぶり、念願の餃子に出会えた時も、当然身体はビールを欲していた。
しかし。
この日は、北海道マラソンの前夜。
僕は、マラソンを始めた時から、「レース前日はアルコールを摂取しない」というのを不文律にしている。
レース前夜の酒は、身体に悪影響を及ぼすからだ。
それは、僕が心から尊敬する岩本能史先生の教えであり、逆らうわけにはいかない。
特に今年は、練習不足もあって、ただでさえ完走が厳しい(と思っていた)のだから、せめて体調は万全に整えておく必要がある。
ここは我慢、グッと我慢の男の子だ。
ドリンクメニューを眺めてみる。
青島ビールはアルコール度数も低いし、小瓶1本ぐらいなら、問題ないんじゃないか…?
という邪念もよぎったが、なんとかそれを振り払い、ソフトドリンクに目を移す。
緑茶やジャスミン茶などは、カフェインが入っているから、これもレース前夜には良くない。
ならばコーラかジンジャエールか…。
いや。そんな甘ったるいものと一緒に餃子が食べられるものか。
ならば答えはひとつしかない。
サッポロプレミアムアルコールフリーだ。
いわば「なんちゃってビール」と言えるようなもので、普段ならばもちろん選ばないが、この時だけは別。
アルコールフリーとは言え、《サッポロプレミアム》の冠がついているから、札幌の地で飲むにはふさわしい飲み物のようにも思えた。
ということで、僕は、8年越し念願餃子の相棒として、これを選んだ。
うん。悪くないぞ。
ノンアルコールの文字がちょっと寂しい(しかもグラスにまで書かれている!)し、「この商品はビールではありません」という文字に興ざめするけれど、絵柄だけ見れば、完全に餃ビーだ。
肉汁たっぷりのジューシーな餃子は、なんちゃってビールにも調和した。
サッポロクラシックの味わいにはほど遠いけれど、少なくとも、コーラやジンジャエールよりは、断然餃子に合う。
この日はレース前日だから、カーボローディング*1を行う必要もあった。
餃子は、小麦粉の皮が命の料理だから、当然、カーボ(炭水化物)は豊富。
順香の餃子は、もちもちの厚皮だったので、まさに絶好だ。
餃子は、炭水化物だけでなく、タンパク質や脂肪の3大栄養素がしっかりとれる完全食。
だから、カーボローディングならぬ、餃子ローディングが、レース前日には最高の食事療法になるのである。
ということで、ノンアルビールをお供に、僕は餃子ローディングを進めることにした。
焼餃子は本当に美味しかったので、追加しようかとも思ったけれど、この店には、もうひとつ魅惑的な料理があったので、そちらを選択することにした。
その料理は…。
水餃子だ。
写真からも、皮のもちもち感が伝わるだろう。
レース前日と言うことを考えれば、小麦粉の「圧」が強い水餃子の方が、身体には適している。
まさに、カーボローディング向きの料理なのだ。水餃子は。
加えて、この餃子は、その具が最高だった。
ニラ玉!
水餃子としては、他にも《白菜と豚肉》《海鮮》があったが、僕は迷わずニラ玉を選択した。
僕はニラ玉をこよなく愛しているから、それと餃子がタッグを組んだニラ玉餃子は、最高の好物。
ニラと卵で、栄養素もたっぷり補えるから、これぞ餃子ローディングという食べ物になっているのも魅力だ。
焼餃子と違って、下味はそれほどついていなかったが、それは、この店の計算の内。
ここで、テーブルに置かれていた調味料が威力を発揮する。
自家製の辣油が、メチャメチャこの水餃子には合うのだ。
そしてこれはもちろん(なんちゃって)ビールとの相性も抜群。
水餃子は10個もあったけれど、僕は、もちろん、感激しながら完食。
至高の焼餃子と絶品水餃子で、最高の餃子ローディングを実施することができた。
いやぁ、本当に美味しかったなぁ。
出来れば今度は、レースと関係ない日に訪れて、本当のビールと一緒に、餃ビーを堪能したい。
*1:長時間の競技中にエネルギーが不足してしまわないよう、エネルギーの基となる炭水化物を体内にたくさん積み込み、蓄えておけるようにする方法のこと