浅草の裏通りに、餃子の美味しい店がある。
そんな情報を、SNS界隈で何度か見かけて、ずっと気になっていた。
「点心爛漫」という洒落た店名も好ましく、点心好きの僕の興味をそそった。
ただ…。
土日のみの営業ということだったし、週末の浅草は、インバウンド需要もあって大賑わいなので、なかなか行きにくいなぁ…と思っていた。
しかもこの店は、カウンターのみ、たった5席しかない極狭店。
わざわざ出かけても、大行列になっていたりすると、徒労感が半端ない。
ということで、ずっと僕の宿題店として残り続けていたのだ。
ただ、最近、「平日も、火曜と木曜の夜だけは営業している」という口コミを見かけた。
あくまでイレギュラー営業という感じで、不定休もあり得たが、ダメ元で行ってみるかと、会社帰りに訪れてみたら…。
開いてた!
しかも、先客は1人だけ。
僕は、「もしかして予約客だけで貸切なのか」と不安になり、店頭から主人に「入れますか?」と聞いてみた。
すると、「空いてるよ」とのことだったので、喜び勇んで入店。
カウンターの端に座らせていただいた。
FOODメニューはこれだけ。全て500円。
実にシンプル、そしてわかりやすい。
ただ僕は、そんなシンプルな選択肢でもかなり迷ってしまった。
最近、どうにも胃の調子が思わしくなく、そんなに量が食べられないからだ。
焼餃子はマストとして、ひとまず注文。
あとはどうしようか…フカヒレ餃子か小籠包か…シュウマイの評判も良い感じなので気になるなぁ。
…などとしばらく悩んでいたら、店主の方から、「点心、ミックスで作ろうか」と声をかけていただいた。
いやぁ、もう、それは渡りに舟だ。
僕が「ミックスなんてあるんですか?」と尋ねると、店主は「別にないんだけどさ、迷ってるみたいだから、特別さ。」と軽く笑った。
僕は、この日初めて利用した入店客なのに、この愛想の良さ、親切ぶりは素晴らしい。
そういう店だから、もちろんお客さんからも愛される。
壁一面に書かれたお客さんからのメッセージは、まさに、その証明だ。
店主に「写真撮っても良いですか?」と聞くと、「どこでも撮って構わないよ。どんどん撮ってくれ」とのこと。
僕は、そんな優しい店主の気遣いに感謝しながら、撮影。
壁のメッセージをつらつらと眺めていると…まずはビールが出てきた。
焼餃子と一緒に注文していたものだ。
書き忘れてしまっていたが、ドリンク類も、全て500円で統一されていた。
ビールには、ちょっとした野菜のアテが2品ついてきた。これで500円なら悪くない。
小品ながら塩加減が絶妙で、いやはやこれはビールが進む。
あっという間に飲み干してしまった頃…。
焼餃子が出てきた!
焼き色が独特で、その表面からクリスピー感が伝わる。
右の2つは、ちょっと焦げすぎなんじゃないかという気がしないでもないが、個人的には許容範囲だ。
いやぁ、これは期待通り美味しそうだぞ。
ということで、僕は、生ビールを追加注文して、餃子と共演させた。
うん。いいぞ。やっぱりこれでなくちゃ。
タレもこの店の自家製ということで、僕は大いに期待が高まった。
囓ってみる。
見た目通り、クリスピーな皮の食感が素晴らしい。
具も僕好みの、粗切りでショウガとニンニクが利いているタイプ。
いやはやこれはビールに合うぞ。
そんなことを思いながら餃子を頬張っていると…。
点心ミックスも登場!
小籠包と蒸し餃子、そして、シュウマイ2種がセットになった蒸し物4点セットだ。
4種類のメニューを一気に味わえて、いやはやこれは素晴らしい。
蒸餃子は、焼餃子と全く異なる具で、肉がたっぷり。
小籠包は、熱々ジューシーで、囓ったとたん肉汁が口内にあふれ出してきた。旨いぞ!
シュウマイは、どちらも箸で簡単に切ることができるくらい柔らかくてふわふわ。
えび、かに、どちらも、その素材の味を生かして、実に味わい深かった。
そんな点心たちを食べ終わった頃、さて、もう1品ぐらい注文しようかと思っていたところ、僕の目の前に、これが置かれた。
唐揚げだ。
店主曰く、「彼(常連の方)のついでにね」とのこと。
どうやら、常連の方が唐揚げを注文したので、それにあわせて、僕の分も、サービスとして、揚げてくれたようだ。
いやはや感激。
もちろんありがたくこれはいただいた(美味しかった)が、やっぱり、折角なので、もう1品注文することにした。
焼餃子と蒸餃子は、全然具の内容が異なっていたので、水餃子はどうなんだろう…?と思い、水餃子に決定。
店主にそれを告げると、「辛いのは大丈夫?」と聞かれた。
僕は、辛いモノが得意というわけではないが、キムチなどは普通に食べるので、「大丈夫です」と回答。
すると…。
真っ赤なスープに浸った水餃子が登場した。
野菜やキノコ類なども入っていて、ヘルシーな感じの水餃子だ。
その具も、ニラがたっぷり入ったヘルシータイプ。
もちもちの皮も含めて美味しかったのだけれど、大きな誤算は…。
想像以上に辛かったw
ということ。
僕は、最初の一口をすすった際、思わず大きくむせてしまって、店主と常連の方に笑われてしまったほどだ。
ただ、しばらく食べているうちに慣れてきて、この水餃子と野菜類ならば、辛い方が合っているかも…と思った。
店の独特な雰囲気と、極上の点心たちに舌鼓をうちながら、快適すぎる1時間。
この日僕が注文したのは、3品のみなのだけれど、ミックスセットのおかげで種類はいっぱい味わえたし、サービスで唐揚げなどもつけてもらったので、満足度は非常に高かった。
料理3品とビール2杯で、税込2,500円。明朗会計だ。
リーズナブルに極上点心が味わえる、とても居心地の良い店。
週末は行列ができる人気店だが、平日(火曜&木曜)営業日の早い時間ならば、それほど混んでいないようなので、近いうちにまた必ず訪れたい。