ここ半年間も続いていた藤井二冠の連勝が、ついに止まった。
昨日行われた、王座戦の決勝トーナメントで、深浦九段が、藤井二冠を撃破したのだ。
中盤までの評価値では、藤井二冠が優勢となっていたが、粘り強い深浦九段の差し回しに、勝負を決めきれず、形勢逆転。
そこからは、徐々に深浦九段がリードを広げて押し切った。
藤井二冠は、昨日の勝負で、将棋界初となる「二度目の20連勝」がかかっていた。
四段時代に記録した29連勝で、最多連勝記録を打ち立てたのは有名だが、今回の連勝は、当時よりも断然対戦相手が強い。
29連勝当時は、タイトルホルダーやA級棋士などとの対戦はゼロ。
しかし今回は、渡辺名人(三冠)や、豊島竜王(二冠)をはじめとして、A級棋士や、元タイトル獲得者たちをなぎ倒しての19連勝だから、その価値は段違いだ。
だからもう、そう簡単には止まらないのではないのかと思っていた。
しかし、深浦九段は、見事に藤井九段を撃破。対藤井戦は2勝1敗となり、藤井二冠に勝ち越しとなった。
これは、まさに快挙。
渡辺名人(三冠)も、永瀬王座も、羽生永世七冠も、藤井二冠には大きく負け越し中。
これまで、藤井二冠と複数回戦って勝ち越している棋士は、たった4人だけしかいないからだ。
【豊島竜王】 6勝1敗
【久保九段】 3勝2敗
【大橋六段】 3勝2敗
【佐々木(大)五段】 2勝1敗
このメンバーに、今回、深浦九段が加わることになる。いやはや、凄い。
深浦九段は、将棋ファンには、「地球代表」というニックネームで知られている。
このネーミングが生まれるまでには、さまざまな紆余曲折があったものの、最新の解釈としては、「地球を侵略しに来た将棋星人」である羽生善治先生に対峙するものとして定着した。
無敵の強さを誇る藤井二冠も将棋星人。
深浦九段は、二代目「将棋星人」の藤井二冠に勝ち越したことで、「地球代表」の面目を保ったといえる。
また、同じく藤井二冠に勝ち越している、数少ない棋士のひとり、佐々木大地五段は、深浦九段と師弟関係にある。
このふたりは、《深浦一門》としてTwitterアカウントを設立。
タイトルページのバックには、地球の姿があり、まさに、地球防衛軍という趣だ。
弟子である佐々木五段は、昨晩、師匠の勝利直後にこう呟いている。
師匠強かったです。
— 深浦一門 (@Fukauraichimon) 2021年5月6日
明日は王位戦で羽生九段と対局です。大一番ですが、自然体で臨みたいと思います。
(弟子)
今度は弟子が、「元祖・将棋星人」の羽生九段と対決。
連日の地球防衛軍出陣になる。
果たして、再び地球は守られるのだろうか。
僕は羽生九段の大ファンなので、気持ちは複雑だが、その勝負には大いに注目したい。