2017年、春。
日本におけるBlackBerryは一度死んだ。
当時、BBを一手に扱っていたdocomoが、BlackBerry Boldシリーズを運用するのに不可欠な、BIS*1を終了させ、BBの取り扱いも停止させたからだ。
BB史上永遠の名機と言えるBlackBerry Bold 9900は、その後継機に志を託せぬまま、日本での役目を終えた。
その後、迷走の後に誕生したBlackBerry Classicは、BIS不要で運用できるようになったため、悔しい気持ちは残る。
しかしそれは、一時期の徒花だった。
BlackBerryは、日本のみならず、全世界市場でもシェアを落とし続け、ついに、開発・製造元であったBlackBerry社(旧RIM社)が撤退。
そのブランド名だけが、中国のTCL集団などに身売りされ、何とか生き残る、という形になってしまった。
AndroidをOSとするようになったBlackBerryは、もはや、以前のBBとは別物だったし、身売りもされてしまったことで、僕は、もう終わりか…と思っていた時代もあった。
しかし、どっこい、終わってなどいなかったのだ。TCLは本気だった。
BlackBerry KEY2は、「あの」9900を彷彿させる完成度を持って、登場したからだ。
9900と、KEY2の競演。
あらためてさよなら、ありがとう9900。そして、ようこそKEY2。そんなことを感じさせてくれる揃い踏みだ。
今回は、日本市場でBlackBerryの販売代理店を務めるFOX社もまた、気合が入っている。
FOX社は、まだBB社がBlackBerryを製造している2015年から、海外版のBBを日本向けに販売してきた老舗。
ただ、これまでは単なる、輸入物の《販売代行、サポート担当》というイメージが強く、Webを中心に細々と(?)展開していた印象がある。
しかし、BBの新機種が発売になるたび、取り扱いも拡張。今回のBlackBerry KEY2では、販路を大きく広げてきた。
とりもなおさずそれは、TCL社とタッグを組んだBlackBerry KEY2の完成度に、自信を持っているからこそだと思う。
日本市場には、BBに追い風も吹いている。SIMフリー端末の躍進だ。
もはや、携帯キャリアにとらわれる時代は終わった。
日本でも、ようやくSIMフリー端末の認知が高まり、格安SIMと組み合わせることで、携帯キャリアの法外な料金プランにとらわれず、使うことができるようになった。
2年縛りなどという、理不尽なシステムに翻弄されることもない。
SIMフリー時代の到来は、新しいBBにとっても、大きな味方となる筈なのだ。
右を見ても左を見てもフルタッチ端末の溢れる今、個性溢れるBlackBerryの存在は異質で貴重。
日本市場からの撤退後、最大の課題だった日本語入力面においても、KEY2ではiWnn IMEを搭載するなどして、大きな前進が見られている。
これは、もう、日本へのBB本格回帰。蘇生と言っていい。
そんな僕の思いが妄想ではないことを示すために、かつてのBBたちと、KEY2を比較してみることにしよう。
(以下、続く)
*1:ブラックベリーインターネットサービス。これが使えないと、「メールの送受信」「Webの閲覧」を含む、データ通信を伴うアプリがすべて利用不能。通話とSMSしかできない端末に成り下がる。