華麗なるゴールは、大いなる夢への序章。
ブエナビスタ、圧巻の末脚でクラシック2冠達成!
着 | 印 | 馬名 | 性齢 | 騎手 | タイム | 着差 | 人気 |
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1 | ○ | ブエナビスタ | 牝3 | 安藤勝己 | 2.26.1 | 1 | |
2 | △ | レッドディザイア | 牝3 | 四位洋文 | 2.26.1 | ハナ | 2 |
3 | ◎ | ジェルミナル | 牝3 | 福永祐一 | 2.26.6 | 3 | 4 |
しかし、そんな僕の予感をあざ笑うかのように、レースは桜花賞と全く同じ着順で1〜3着となり、人気順でも1,2,4番人気で決着という、極めて順当な結果に終わった。この結果だけを見ると、(本命党以外の人にとっては)あまり面白くないようなレースだったように思えるのだけれど、実際は実にスリリングでドラマチックな、素晴らしいレースだった。
レースは、予想通りヴィーヴァヴォドカが注文をつけて先頭に出る。道中は、12秒台の半ばを的確に刻んだ。1,000メートルの通過が1分1秒だったから、オークスとしては、ごく標準的な流れだったと思う。
4角を回ったあたりでヴィーヴァヴォドカは馬群に呑まれ、すぐ後ろにつけていたデリキットピースやディアジーナが先頭を伺う。
ここで、満を持してレッドディザイアが、内から脚を伸ばす。好枠を生かして中団で息を潜めていたが、一気に抜け出した格好だ。外からはジェルミナルも伸びてきていたが、じりじりとしか伸びない。ブエナビスタも大外から強襲してきたが、かなりの差が開いていた。これはレッドディザイアで決まりか、とも思った。
しかし、ここからの脚が桁違いだった。あっという間にジェルミナルを交わし、ハイエナのように、前を行くレッドディザイアを追い詰める。追い詰めて、追い詰めて、並んだところがゴール板。
非常に際どい勝負だったけれど、これでハナ差交わしてしまうところが、ブエナビスタの底力、そして勝負師アンカツの腕なのだろう。いやはや本当に恐れ入った。
勝利ジョッキーインタビューによると、アンカツは、「4角で内にいくか外に行くか迷って躊躇した分、ロスがあった」と話した。「だから間に合わないかもしれないと思った」と。おそらく、内をすんなりロスなく走れていれば、もっと楽に突き抜けていたのではあるまいか。いやはや、本当に凄い馬だ。
凱旋門賞に登録しているという話を聞いた時は、少し厳しいのではないかと思ったけれど、この圧巻ぶりを見せつけられると、チャンスもあるのではないかと思えてきた。何しろ、3才牝馬は、古馬の牡馬より5キロ軽い54・5キロで出走できるからだ。
ぶっつけ本番では厳しいが、現地でのトライアルを使って臨むなどして水に慣れれば、快挙も夢ではないような気がする。日本での牝馬3冠も目指せる立場だから、陣営の決断はまだ先になるのだろうけれど、今後が大いに楽しみになってきた。