享楽の代償

これを書いているのは、もう、夜の１０時。
正直、今日は日記の更新もできないかと思った。
それほどまでに、苦しんでいたのである。

理由は、昨晩の深酒による二日酔いだ。
はっきり言って、自業自得である。
飲み会そのものは、非常に楽しかったのだけれど、
その楽しさが裏目に出て、つい、飲み過ぎてしまった。
単なる飲み会であれば、それなにり自制できるのだけれど、
カラオケが入ると、どうにもいけない。
基本的に僕はカラオケが好きで、しかも絶叫調の歌を歌うことが
多いので、どうしても喉が渇いて、酒が進んでしまうのである。

ちなみに僕が昨日歌った歌は、以下の通り。

・招待状のないショー（井上陽水）
・タガタメ（Mr.children）
・シェリー（尾崎豊）
・プレイバックPart2（山口百恵）
・卒業（尾崎豊）

「タガタメ」を除くと懐メロばかりだ。
だいたい、いくら十八番だと言っても、この歳になって、
プレイバックPart2はいい加減に恥ずかしい。
（僕が選んだのではなく、勝手に選曲されたのだ）

といっても、実際に曲がかかれば、いつものように歌って
叫んで踊ってしまうのが悲しい性なのだけれど。

それでも、ここまでは良かったのだ。
歌った歌も覚えているし、カラオケボックスの記憶は、ほぼ
鮮明に残っている。

問題は、その後だ。
それまでかなりの酒を飲んでいたはずなのだが、カラオケで
ハイになっていた僕は、酔いの感覚が麻痺していたようだ。
調子に乗って２次会に出かけ、さらに酒をあおってしまった。
それでも、まだ、解散の瞬間は、それなりに意識があった。
（と、自分では思っている）
一緒に飲んだメンバーと、それぞれの路線へ別れた瞬間も、
朧気ではあるが覚えている。

しかし、そのあとの意識は全くブラックアウトして、次に僕の
意識を戻させたのは、扉を叩く凄まじい轟音だった。

ガンガンガンガンガン。ガンガンガンガンガン。
お客さん、起きてください。お客さん！

うるせぇな。もう。
その時点で激しい頭痛に苦しんでいた僕は、あまりの轟音に
苦しみながらも、対応する気力が全くなかった。
倒れ込んでいたその場所から、立ち上がることさえできなかったのだ。

ガンガンガンガンガン。ガンガンガンガンガン。
お客さ〜ん。もう駅は閉まってますよ、お客さん。
起きてください！！
ガンガンガンガンガン。ガンガンガンガンガン。

そうか、ここは駅のトイレの中だったのだ。
僕はようやく気がついて、しかしそれでも全く動く気力が
ないまま、轟音に対して、対応出来ずにいた。
「いいじゃないか、駅の中だって。このまま朝まで寝かせてくれよ」
という思いで、僕は轟音が止むのを待った。

しかし、あまりの僕の無反応ぶりに業を煮やした敵（？）は、
トイレの鍵をこじ開けるという力業*1に出た。

ドアが開いた瞬間、僕は、回らない頭ながら、衝撃を受けたことを
覚えている。

僕は、「なんなんだ、これは。プライバシーの侵害だ！」などという
セリフを言えるような状態ではもちろん無く、ただただ保安員のような
人たちに連行されるままだった。
途中、何度も座り込んだところを抱きかかえられ、雨の降りしきる地上に
放り出された。

それから僕は、這々の体でタクシーに乗り、家に帰り着いた。
タクシーを降りるとき、運転手に時間を聞いたことだけは覚えている。
この時、深夜２時。
僕が飲み会で仲間と別れたのは１２時前だったはずだ。
まともに帰っていれば、その場所から僕の家までは２０分
足らずだったはずなので、僕は２時間近くひとりアドベンチャーを
繰り広げていたことになる。
いやはや何とも情けない。

その後、家のトイレで倒れ込んで眠り、ベッドに移ったあともひたすら
眠り続けた。
途中、何度も目が覚めたが、頭痛は一向に治まる気配がなく、やっと
食事を取れるようになったのは、なんと夜の６時であった。
大事な休日の土曜日が、何もできないまま丸一日潰れてしまった
のである。何とも大きい享楽の代償だ。

代償はそれだけではなかった。
何と、メガネと定期がなくなっているのである。
僕が眠り込んでしまった駅には、当然問い合わせを行ったが、今日の
時点では届けられていなかった。
メガネについては、昨晩、トイレのドアをこじ開けられた時点で気がついて
いて、保安員にそれを主張したのだが、僕が眠っていたトイレ周辺には
見つからなかったのだ。
ケースも何もなく、単なるメガネの放置だから、きっとどこかで発見される
ものと期待していたのだが、今日になっても、それは発見されなかった。
今日見つからなければ、明日以降見つかる可能性はかなり薄いだろう。
今は一応代替のものを使っているけれど、状態が悪くなっているもの
なので、どうにもしっくりこないから、買い直す必要がある。
定期に至っては、まず出てこないと考えた方がいいから、これも買い直しだ。
まだ期限は２ヶ月以上残っていたから、あまりにも痛い出費だ。

しばらく酒は控えることにしようかなぁ…

*1:実際、どのようにしてこじあけたのかは、その瞬間を見ていないので何とも言えないが、その時点での会話から推測すると、外からよじ登って、竿のような物で内鍵を動かしたようだ